大知マンのお仕事

「安全第一大知マン」の最終話までのネタバレが多分に含まれますので、まだ見てない人は円盤見てから読んでください。7話まではYouTubeで見られるよ!


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沖縄には脈々とヒーロー文化があるというのは知ってたのだけど、それ故にいわゆる東映っぽい目指せ世界平和な感じの作品なのかなーと思っていたので、大知マンの1話を見て驚いた。つい最近特撮を見始めた私でもめちゃくちゃ入りやすい。普通の企業で仕事としてやっているヒーローのところにやってくる、ヒーローオタクの新入社員。
そのオタクの涼ちゃんが頼まれなくても解説することによって、普通のドラマでは「寒い」と思われそうな特撮独特の設定もさくさくと噛み砕かれて組み込まれていく。こちらもするするとドラマの世界に入っていける。メタともまた違う見事な構造だった。
ランドゼイラに取り憑かれても人の姿は変わらないので、敵側にガワがないのも現実と地続きに見える一因かなぁ。しかし素面のままのアクションがすごい。笹井さん大知マン2でこれやるんすよね? おおう楽しみ。
あと、音の演出が全体的に静かなのも印象的だった。決めの五芒星のところとかすごく静か。倒すのではなく許しを得る。

現実と特撮世界の橋渡し的な役割なのかと思っていた涼ちゃんが、実は現実をヒーローごっことみくびっていたがために自身と周囲をピンチに巻き込む終盤は、すぐに現実と虚構をごっちゃにするオタクとして耳が痛かった……。
だからこそ最終話、大知マンスーツを届けるという「仕事」をやり果せたときは自社の新入社員の成長を喜ぶような気持ちだった。対比のように「仕事」としてランドゼイラを祓っていた大ちゃんさんが、「使命」を口にするのもグッときた。
あまり共感を得られるところではない気がするが、涼ちゃんの変身が、同じ部署の大ちゃんさんの代わりというのが実はいちばん琴線に触れたところかもしれない。個人的に「代わりが効く」というのは会社員の一番の特性だと思っている。私も会社員なので。そういえば、そもそも涼ちゃんが来たのは産休に入る麗子さんの代わりだった。
企業のヒーロー、仕事としてのヒーローをどこまでも全うしていた。お仕事ものとしてもすごく好きなドラマだった。続きがあるとわかっているのは幸せなことだな。