『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』

中島たい子
『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』
幻冬舎文庫

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344433595/

 

おもしろかった! よくある「フランス人は10着しか服を持たない」系の本は一切読んだことないけれど、『漢方小説』の頃から常に著者の書く同世代の女主人公と共に生きてきたので、その中島たい子さんから見た話というのなら読めるだろうと買ってみた。

読んでみて、私が「フランス人は〜」みたいな本を読まないのは、裏を返せば「だから日本の女はダメなんだ」と言われると思ってるからなんだろうなとわかった。読んでないから知らんけど、分断と比較そのままみたいなタイトルからそう思われても仕方ないだろうと思う。

「パリの女は産んでいる」のは、シングルでもなんでも産んだら育てられるようにしたからで、これについては日本政府がクソと即結論が出るのだけど。

勘所を押さえること、無理して頑張らないけど頑張りたいことは頑張る、当たり前だけど難しい。私みたいに一人で住んでいると、いくらでも手を抜くことも怠けることもできるけれど、それで本当に楽をすることになるのかといえばそうではない。自分が心地良いい環境はさぼってばかりでは維持できない。とはいえ無理をしては続かない。

私が自分の分だけなのに三食自炊するというとマメだねとか言われるのだけど、別にそうでもないし褒められるようなことでもないので「そうしないとセルフネグレクトまっしぐらだから」とか言ったりするんだけど、そこまで強迫観念に囚われてるわけでもないし、嫌々やってるわけでもないし、あんまそういうこと言うのやめよう。苦にならないからやってるだけだ。

しかしこう、きちんと生きている人がいて、それをリスペクトする人がいて、というのを読んでいるだけで人間への信頼、ひいては自己肯定感まで高まるようだった。Xであまりにも頭の悪いもの、醜いものを見過ぎた。もう本当にやめよう。