そういうふうにできている

6/22 太田プロ注目芸人と行く 初夏の赤城高原バスツアー


行く前から大騒ぎしていた太田プロバスツアー、無事開催されまして、無事行って戻ってきました。
今回も……今回もほんとうにたのしかったっ……(絞り出すように)! 終わった瞬間来年までどう生きていけばいいのか一瞬分からなくなるくらい楽しかった。もうね、人間あんっっっっっまり楽しいことを享受すると、それを励みに頑張ろうってふうにはならないんですね。ただただ終わってしまった喪失感と、そうすぐには鎮火できないなにかが燃え盛っていてそのままファミレスで3時間しゃべったよね。はー……終わっちゃった……。


今年は赤城クローネンベルクというところに行って、ソーセージを作って、ご飯を食べて、シャッフルコンビ2組のネタを見てきました。とはいえ目的地に着いてからよりも行き帰りのバスの楽しさがその日の最高値を記録したりして、ほんとに一日中隅から隅まで楽しかった。
去年に比べて自由時間が少なくて、その時間中サインをもらう行列ができちゃって、去年みたいにあちこちに散らばった芸人さんを探すオリエンテーリング的楽しさがなかったのだけ残念でしたが、でもこれは不満ではないです! 来年があればそこだけ変えてほしいなーという希望であって不平も不満も何にもないです! ただただ、やってくれたことへの感謝しかないです。


何万字書いてもあの楽しさが書けるはずもないのですが、ツイートからその熱は伝わるかしら。今年は初めてトゥギャッターというのを使ってツイートをまとめてみました。これはもう完全に来年があったときの宣伝用です。そもそも普段、ハッシュタグ付けてツイートもあんましないのですが、今年は後からこれがないと絶対不便だと思って使いました。たぶん参加者みんな大なり小なりそう思ってたんじゃないでしょうか。えらい数だった。


2014/6/22 太田プロ注目芸人と行く 初夏の赤城高原バスツアー - Togetterまとめ


こんなに参加者も制作サイドも「来年」が確約できないとわかってるイベントも珍しい……というか、その天井知らずの楽しさと、来年への確信の持てなさが全然釣り合っていません。参加してる人ほど気軽に来年と言えなくて、参加しない人の方が「来年があれば」って言いやすいみたい。不思議なものです。ただ楽しいだけで次があると無邪気に信じられるほど簡単なことではないって、自分の目で見るとわかるからかもしれません。



まとめを見るとコンビばらけて乗車した復路はどっちのバスも歌ってばかりのように見えますが、2号車は質問受け付けますよと言われて相方さんについて結構長い時間話してくれました。1号車もひょっとしたら何かあったかもしれませんね。書かれてないだけで。
相方さんの好きな所でも嫌いな所でも今年の賞レース相方とこんな対策してるぞでもなんでも良いんでとお願いしたんですが、いやー、いろんなことが聞けました。それについてツイートが全然ないのはさすがというか、いや悪口とかは全然ないんですが、でも今のコンビがどれほどの信頼やあきらめや希望や慣れや折り合いや……言い尽くせないくらいたくさんの思いを、言ってしまえばお互いの人生の丸ごとをもって成り立っているのかを実感する話ばかりでした。それでも文字に起こすのはもちろん、伝聞で話すだけでも誤解も六階も招きまくるであろうなんというかセンシティブな内容を飾りっけなくそのまま訥々と、どの芸人さんも話して下さって、やっぱり普段の舞台上にいるのとは違うスイッチが入っているんだなと思うと同時に、それでも来た客に対してこんなに胸襟を開いて話してくれることにも喜びを感じました。


なのでそのコーナー中で最も当たり障りのないフレーズとともに各人のお写真を載せるよ! もちろん録画したわけじゃないから言い回しはうろ覚えだよ! あと写真の撮り方に偏りがありすぎてすいません。酒井さんと西堀さんのソロショットがほんとになかった……。


前半組

新妻さん→和賀さん
早く結婚してほしい



平子さん→酒井さん
女っ気がない



滝沢さん→西堀さん
決勝行きたい



松原さん→風藤さん
ずっと風藤と漫才したい



かねきよさん→石沢さん
良い話相手なんですよ


後半組

石沢さん→かねきよさん
かねきよさんはすごくおもしろい



西堀さん→滝沢さん
笑うとかわいい顔してるよね



酒井さん→平子さん
全幅の信頼を置いてる



風藤さん→松原さん
小競り合いもケンカもない。一回もない。言い合いもない。



和賀さん→新妻さん
ネタ9のネタ合せにネタ4本持ってきた



サイクロンZさんは相方さんの話はなかったので心理テストから「幹が末広がりな人は生命力が強い」。


おもしろいのが、直に質問した前半組よりも、西堀さんが「さっきは相棒の話したんだって?」と言って話し始めた後半組の方が圧倒的にたくさん話してくれたことです。「すでに自分は何をか言われている」という意識がそうさせるのかしら。
それにしても当たり障りのないフレーズを探すのって、肝の一言を探すのと全然逆の行為で楽しいな。



思い出が膨大すぎてレポートは書けないのですが、ちょこっと写真だけ。



朝のご挨拶に来た風松。「風藤:すいませんね、新婚旅行につきあってもらっちゃって」「松原:俺の相手あんたじゃないから」



シャッフルコンビがネタ披露する前。声出し。



和賀さんと西堀さんのマクメン!



和賀さんと風藤さんが揃ってると、なんかいつもすごく「贅沢だな」って思う。ひとりでも全員に突っ込めるほどの人がふたりもいる。私の思う「関東のできるツッコミツートップ」。



平子さんと新妻さんは、似てると思う。私の思う「関東の誠実な嘘つきツートップ」。このことに符合する話がバスで少しだけ聞けて嬉しかった。



2号車で、新宿が近づいてきたときに和賀さんが誰にともなく最後どうする? 向こう(1号車)と何も打ち合わせしてないから……と言っていたのだけど、今年もハイタッチでお見送りしてくれました。これほんとに嬉しい。
そしてみんな窓側に座って、敬礼して去っていきました。


*   *   *


バスツアー後のライブ終わりにお友達と「全事務所バスツアーやってほしい!」と話していて、「太田の芸人さんだからできるのでは?」と言われた時も話したんですが、ツアーの楽しさは太田に限った話ではないと思います。集客力によって規模は変わってくると思うけど、「ライブとは違った形でお客さんを楽しませる」ことは、全ての芸人さんが絶対にできます。どっちかというと客層の方が雰囲気を左右することはあるかもしれません。
去年も思ったんですが、このバスツアーの芸人さん6組はみんな伝説の大礒ロングビーチ太田プロバスツアー(バス13台)には参加していなくて、バスツアーのやり方を教わる機会があったとも思えません。それなのに、全員が示し合せたようにあんなに楽しくさせてくれるっていうのは、一体なんでだろうと考えてみたら、それは、芸人さんはみんなそういうふうにできているとしか考えられませんでした。


だいぶん前に羊毛フェルトを作るのに凝ったことがあるんですが、「原毛は水をかけて摩擦を与えると絡み合って布になる」と知って、へー、それはどういう理屈だろうと手芸本を買ってきたら「原毛は水をかけて摩擦を与えると絡み合って布になる特性があります。そういう風にできているのです」と書いてあって脱力したことがあります。そういうふうにできていると言われたら、もう納得するしかない。奇妙に明るいあきらめのような、大きな大きな安堵感のような。


ギースとラブレターズの浅草ツアーも、ギースの印象が180度変わるくらい楽しませてくれました。だからきっと、マセキの芸人さんも人力の芸人さんもできます。とがっている人はとがっているなりに、人見知りの人は人見知りなりに、それでも目の前のお客さんを全力で楽しませずにはいられないはずです。その人が芸人さんならば。細胞の単位から別の生き物ならば。


ライブの楽しさはライブの楽しさで、ツアーの楽しさはそれとはまた全然別で、その感情の高ぶり具合を文字にすることは全然できないんだけど、ライブとツアーの合わせ技を食らうととにかくその芸人さんたちみんなのことがたまらないほど好きになることだけは確かです。顧客囲い込みとしてこんな有効なことはないですよ。あと単純に代金を支払うことによって支持を表明できるのもうれしい。
だから全事務所! ツアーやってくださっていいんですよ! 良いことしかないですよー!


企画してくれて、実現してくれて、楽しませてくれて、ほんとうにありがとうございました。あなたたちのことが大好きです。