にっき

昨日は丸一日母と出かけていた。
まず幕張の映画館で「アナと雪の女王」を見た。文化果つる町・千葉は基本映画館が空いている。映画を見るのだけはほんとうに千葉は良い。どんな話題作もまず空いている。昨日見た回は11:15からで観客20人くらいだった。混雑した映画館が嫌いな方は、千葉まで足を伸ばすのを検討されてはいかがでしょうか。


映画は終わった後母と良かったね、良かったね、もう一回見たいねとばかり繰り返すほど良かった。母は「踊る狸御殿」と「鴛鴦歌合戦」が大好きな人で、私もその影響で「映画は歌って踊るべし」みたいなところがあるのでもう大満足。ストーリーだけなら1回でも良いかもしれないけど、どの歌ももういっぺん聴きたいのでもっかいくらい行きたいナァ。
まだ公開中なのでネタバレは避けるけれど、最近の王女様は自分の足と手で頑張っているのねとしみじみ。


良かったね、楽しかったねと良いながら近くの寿司屋「やまと」でお寿司を食べて、京葉線で八丁堀まで。日本橋高島屋までだらだらと歩く。
母と出かけるときは、こういうオフィス街のような所を歩いて移動することが多い。たまに思いもかけない店が出てきたりして楽しい。しかし暖かくなったからこそ出来ることではある。


高島屋で「生誕120年 武井武雄の世界展」を見る。岡谷のイルフ童画館には行ったことがあるので特に何が見たいと言うこともなく行ったのだけど、これが見たことのない絵がたくさんで思わぬ大興奮。原画としてではなく刷り物としても見たことないのがたくさんあった。岡谷どんだけ展示しきれないの持ってるの。
とにかくクレヨンのポテンシャルに驚く。画材としてこんな力を秘めていたなんて……活かしてあげられなくてごめん……。
グッズに「キデコさんの話」のキデコさんのクリアファイルがあったので買う。キデコさんのファンなんです。

あたしは りっぱな つよい キデコです。
あめをも かぜをも おそれない つよいキデコです。

武井武雄画噺2『おもちゃ箱』より


高島屋の近くの「日本橋さくら通り」というほんとうにせまいせまい道の桜が満開だった。あまり大きな木はなかったので新しい通りなのかと思ったら、昭和31年に植えられたらしい。東京駅からこんな近くに、こんな所があったとは知らなかった。



母がこのへんに「長門」という和菓子屋があるはずだというので探したら果たしてあった。上生をむっつ買い、桜を眺めつつ地下鉄で西新宿へ。この日の主目的、新宿美術学院主催の山口晃画伯の講演会を聞きに行く。


前半は画伯と同級生だった新美の先生との対談で、気さくで楽しく、画伯の予備校時代の絵や学生時代の写真まで見られて嬉しい。たまに画伯が絵の専門用語をぽろっとこぼすのも、わからないのがまた楽しい。知っている人が見ればかなり似ているという予備校の先生の物真似までする画伯は相変わらずキュートが過ぎる。
後半は主に画伯が自分の作品をスライドで映しながら解説をされて、先生は合いの手を入れる感じに。卒業制作アルバムに掲載された作成途中の「深山寺参詣圖」に人が一人もいなくて驚く。写真撮影時には間に合わなくて、そこから提出までにせっせと描いたらしい。
自分たちの頃に学校が週休二日になり、金曜の夜に守衛に追い出されてしまうので家で描かなければならなかったのだけど下宿の階段に入る大きさじゃなかったので、まず絵の木枠をとって折りたたみ式の木枠を自作し、木枠を半分に折り、絵の部分を反対側に半分に折って、半裁の大きさにして下宿に持って帰り土日描いてまた学校に持っていくのを繰り返したそうな。自分で振り返りながら画伯が「まじめですね」というと先生も「まじめですよ」と返していた。


17:30に始まって、19:10くらいまでたっぷりと。美大に行く予定もない奴がこれ無料で聞かせていただいて良いんでしょうかと言う充実ぶりでありがたかった。楽しかったー。


帰りに東京駅キッチンストリートの「釜たけうどん」に行く。母も私も大阪で食べて大いに感動した店の東京支店。私はちょっと前に行って、大阪のよりは麺が固いと感じたので母の意見が聞きたかったのだ。母も同意見だった。なんだろうな、水が違うのかな。大阪の麺のあのふわふわぽよぽよ、なのにコシがある不思議な感覚。
とは言え東京のも、ごつごつ固いばっかりのエセ讃岐うどんなんかよりはずっとおいしいんですけどね。


サウスコートに寄って、日本市で姪によさそうなぬいぐるみのにぎにぎを買って帰る。今度遊びに来るんですよ。