No.1

始まる前はずっと「あ゛ーーーーーーーーーー」って言う変な声が出ていて、終わってから口をついて出る言葉は「わっかんねーなー」でした。
ロバートが優勝したのがわからないとか納得いかないとかじゃなく、トップリードの話。つまりは普段自分がライブで見ているものの話。


私はお笑いに関してもちろんわからないことの方が多いし、わからないことばっかりと言っても良い。だってまず第一に、私には、東京03とトップリードの何が違うのかがわからない。どっちも演技力があって、物語のしっかりしたコントだと思う。でも東京03は9点か10点がつけられて、トップリードは7点か8点だった。その差がどこからくるのかわからない。
わからないというと非難めいて感じられるかも知れないけれど、そういうつもりはなくて、ただほんとうにわからない。


テレビで見るトップリードのコントは、ほんとうにいつものライブ通りで、でも、こぢんまりしているとは感じられた。ライブでは感じない印象だった。
客受けで決める予選の、最後の舞台がテレビであるかぎり齟齬が生じるのだろうか。でも客受けだけで決まるんだったらライブ向きのネタばっかりになって、そこで差はつかないはずだ。普段自分がライブで見ている物は、ほんとうにおもしろいものだと断言できる。でもテレビを通したらそうとは限らないと言うこともわかっている。でもどうしてそうなってしまうのかはわからない。
TKOの2本目が始まったとき、セットと小道具と衣装を見て、テレビ映えするのはこういうコントなのかなと思った。だけどトップリードがそういうコントをやっているところが想像できなかった。いつも、パイプ椅子2つでどんなコントもやっているから。
以前月笑を見た後、毎月毎月新しい人物を生み出すトップリードのコントは、毎回一から説明しなくちゃいけないから大変だなと思ったことがあった。たとえば北千住練馬は出てきたらそれだけで北千住練馬だとわかるから、説明全部すっとばせるのになと。
そのときは特定のキャラがないからそうなるのだろうと納得していたのだけど、セットとか小道具がその役割をするのかと気づいた。必ずしも正確でなくとも、見る人の想像を許してある程度、それこそ「こいつは金持ちそう」と気づかせる程度の、そういう助けがあれば一から十まで口で言ったりマイムしたりしなくてもいいのかーと。そうしたら、ネタの余白は増えるのかも知れない。
(ただそれこそ、普段見ている劇場を持たない芸人さんたちが、ネタごとにそれだけの準備ができるのかどうかと言うハードルはある。)


でもそこで思い出すのはトップリードの宣材写真で、あの白シャツ黒ズボンをなんとなく彼らの正装だと思っているんだけど、あれは、そこから何者にでもなれますよと言う無の設定だ。
無で出てきて、色を置くように世界と人物を作り上げるのがトップリードのコントなのだとしたら、というかそういうものだと思っていたんだけど、だったらやっぱりソファにどっしり座って始まるトップリードのコントが想像できないのは当たり前なのか。


設定をぼんと目の前に出して理解を助けることにならない場合ももちろんあるのだろうけど。2700の「キリンスマッシュ」なんて、あれは「考えるな、感じろ」の訓練ができてないと「キリンスマッシュってなんだ」で止まってしまって笑うどころじゃないだろう。ちなみに私は最初にキリンが出てきたところで一番笑ってしまって、賭けてるあたりではそうでもなかった(笑)。どえらいネタだったなぁ。


わかんないことばっかりで、結論もないんだけど、ただわかっているのは、どういうコントを選ぶのかは芸人さんの考えることで、私の考えることじゃないと言うことだ。芸人さんが選んだものを見て、笑うか笑わないかが私の決めるところであって。
それと私はライブで見たことを基準にしてしかお笑いを見られないこともわかっている。
ライブでかけるネタが変わっていったりするのかなぁ。でもそれはゴールをどこにするかと言う話でもある。ゴールはテレビで受けるネタなのか? 理想ってなんなんだろう。ライブを続けること? ネタをしなくなってバラエティに出ること? その間はあるのか?
わからない。結局。わかることはないのだろう。わからないまま願うのは、なるべくすべての芸人さんが自分たちのなにかを売り渡すことなく理想を叶えて欲しいと言うことだけだ。
ライブでトップリードが見たいから、月曜に5556ライブに行けると良いなー。