だましてください言葉優しく

鬼ヶ島 イン ワンダーランド
7/25 東京キネマ倶楽部 19:30


金曜日は鬼ヶ島の単独に行ってました。楽しかったです。夏休みの作文みたいになってますけど。
東京キネマ倶楽部でライブを見られると言うだけでも贅沢で、別世界感がすごいのに、最初のコントの歯医者の椅子が、パイプ椅子でなくほんとに歯医者の椅子っぽかったので(マッサージチェアかも知れない)、もうすっかり安心してその世界に浸りきることが出来ました。
最初に出てきた野田さんのメイクと衣装も、OPでしか使わないのがもったいないくらいだったし、一番好きだったゾンビのネタの野田さんのぼろぼろのスーツがとっても素敵で。あの退廃的なフリルちょう装苑っぽいですよ。最後の執事和田も手袋まで決まりまくってて、とにかく全編通して気が散らないというか、こっちが頑張って補完しなきゃ行けないような貧乏くさい瑕疵がない。余計な神経を使わなくて良いどころかこちらの想像力を助けてくれるように細かく丁寧な衣装・小道具・演出……「単独ライブ」を頭ひとつ抜けた、確かにあれはワンダーランドでした。


吉本ではない事務所の単独ライブで他の芸人さんが出てくることは少ないですが、今回はもう鬼ヶ島を慕う人たちがこぞって出ていて、その中でも後輩たちの姿にとっても良いなぁと思うところがありました。
ゾンビのネタの最後の演出に悲鳴を上げながら、鬼ヶ島は「総大将」なんだなぁと思いました。ドランクドラゴンとか東京03とかおぎやはぎとか、テレビの人たちの一個下の世代、今のライブに出ている人力舎みんなの総大将。鬼ヶ島かっこいかったです。それとは別に一個師団みたいなラバーガールがいるのがまたかっこいいところですけど。


鬼ヶ島はKOCの決勝に初めて出る前くらいまで、確かに都内ライブのひとつの中心だったと言う印象があります。KOCを経て、たくさんの事務所から芸人さんが集まるようなライブに出なくなりました。
とはいえテレビで見る機会が頻繁にあるかと言えばそういうわけでもなく、たぶんなにか一個段階を上がったんだろう、でも人力舎の事務所ライブに行かない私がそれを見る機会は当分無いんだろうと思っていました。
その、ひとつ段階を上がった鬼ヶ島を、金曜日にやっと見られたんだと思います。エンドロールが流れたとき、え、もう終わり? 1時間くらいしかやってなくない? と思ったらきっちり90分経っていました。途中「スイカ☆ドロボー」で「一体私は今何を見ているんだろう」とぼんにゃり思った時間も含めて、色んなものが歪んでいたようでした。
入り口で黒服のような岡野さんを見かけたり、開演前のVIP席から賑やかな声が聞こえたりしたのは言うまでもなく、演出ではないですが帰ろうとしたらエレベーターホールに見学に来ていたのであろうきらきらした後輩たちが並んでいたことも含めて全部、総大将である鬼ヶ島を尊敬し、もり立てている今の人力舎のあたたかな総力を見た気がしました。


外のライブに出る機会が少なく、事務所ライブに行っている人しか知らないおもしろい人が必ず各事務所にいるものですが、それとは逆に段階を上がったからこそ外のライブで見る機会が減る人たちというのも、それよりは格段に少ないですがいます。とはいえ今はテレビの方角にまっすぐな道があるわけでもなく、そもそもその人たちは、はっきりとテレビタレントになりたいのかもわかりません。
そう言う人たちがどこに向かうのかずっとわからなかったのですが、ワンダーランドを作れば良いんだと、鬼ヶ島は示しました。全国ツアーをできる東京03や、その後に続きそうなかもめんたるとはまた別の道というか国を。
終わった後、ライブって豊かだなぁと胸が温まるようでした。自分が見ているものの狭さを知ることは、外の広さを知る爽快さでした。


しかしそんなワンダーランドの乱痴気騒ぎ、鬼パーティに行けなかったことは向こう3年の後悔事案ですよ……いや仕事の勉強会行ってたから仕方ないんですけどね……。
改めて誓う、エンターテイメントとご飯がセットになったイベントには、万難を排して行くと。待ってろザンゼンジの耐久ライブ4.5公演目。