ザンゼンジ

ザンゼンジが解散してしまった。
最初の耐久ライブが終わった後に書いたことがあるけど*1ザンゼンジは「ネタかぶりが残念じゃないコント師」だった。いつ見ても、どのネタでも、前と全く同じということがなかった。本当に細かくチューンナップされていて、さすがコントの人力舎のエースだなと思っていた。たまにしか見ることのない私にも、磨かれて育っていくコントを見ることは贅沢なことだなと思わせてくれた。
あんなに磨き続けていた、珠玉と言う言葉がぴったりのネタの数々がもう披露されることがないなんて信じられない。どっちが頭のおかしい役でも自然体という、稀有なあのふたりにしかできない全てのネタが。
単独ライブがあったら行くつもりだった。耐久ライブでのソロライブのOP的なネタ、ためにためたひと言で爆発みたいな笑いを起こしたあのネタが大好きだった。あんなネタがたくさん見られるんだろうと思っていた。


おふたりとも芸人を続けるそうで、良かったと思うと同時に、やっぱりどうしてと言う気持ちがぬぐえない。わからない、確かに、客席から見ているだけのこちら側にはわからないことがたくさんあるのは理解している。でも、その、こっちから見えることだけが私の対価を支払って見てきたものだから、見せていいものだけを見せて、それで魅了してきた人たちが、こういうことになってはじめて、見えないものを考慮して飲み込んでくれなんて、そんな都合よくできるほど薄っぺらなものを見てきたんじゃない。


惜しんでくれるなと言うなら、もっといい加減にやっておいてくれればよかった。あんなにネタを磨いたり、ライブが2時間超えたら客席が疲れてないか心配したり、公務員みたいに真面目に企画やったり、誰も見たことのなかった耐久ライブのMCを務めあげたり、そんなにちゃんとするから、あんなに素敵なことばっかり見せるから、そりゃ好きになるし悲しいし惜しむよ。それはおふたりそれぞれの未来を邪魔したいんじゃなくって、ただただ今はまだ感情がそうとしか動かない。そうさせるのは舞台の上のザンゼンジがあまりに良いコンビだったから。おもしろくて誠実で未来しかないように見えたから。今もその姿しか知らないから。


今メモが手元にないからいろいろと不確かなんだけど、2回くらい前の6人のライブだったか、武田さんが三福さんに向かって、頼むよ、(売れるための)ネタ書いてー!と叫んだことがあった。他力本願ぶりに笑ってしまったのだけど、武田さんにとって売れるための一番の近道は、三福さんの書いたネタをやることなんだなぁと思えて、そのまっすぐぶりに感心してもいた。
こんな姿しか知らないのだ。それを見せてきたのはあなたたちだ。だから、そんなすぐは無理だ。