全ての言葉は漫才

POISON GIRL BAND単独ライブ
「あの頃の漫才2000〜2013と新作60分漫才」
3/8 ルミネtheよしもと 19:30


一度60分漫才を見に行ったくらいで、あとは行列の先頭だったかK-PROさんの大きいライブでごくまれに見るくらい。一番長時間彼らを見たのが、神保町の「flower」だと言うイレギュラー具合。
でも、理想的な漫才をあげろと言われたらポイズンかも知れないと思う。立ち話のようで、どこまでがネタなのかさっぱりわからない。風松を好きになったときに、それを言うと「じゃあポイズンも好き?」と言われることがすごく多かったけれど、私は全く似ているとは思わない。
お笑いに関してはここ5年の狭い範囲のこと以外は本当に全く何も知らない。だからポイズンの見たことのない傑作ネタばかりが見られるならそら行くでしょうと、軽い気持ちで見に行ったのだけど、笑い殺されるかと思った。冗談ではなく。話芸もあそこまで行くと兵器だ。
去年見たネタの中で一番笑ったのは、THE MANZAIの予選で見たポイズンの「巨人に入りたい」だったのだけど、昨日もこのネタで比喩でも何でもなく腹がよじれるかと思った。座ってられないし、涙が出てまともにふたりが見られない。こんなツボに入る漫才に出会えて心底幸せだ。車を運転するネタも、スフィンクスのネタも、中日のネタもほんとうに素晴らしかったなぁ……。漫才ってほんとうに自由なんだなと思った。


合間に流れる時代ごとのコンビ写真と、当時のヒット曲のVTRは私から見てもグッときたのにファンの人からしたらどれほどの感慨だろう。ほとんどの写真がふたりで、時にサンパチと共に写っていたのがとても良かった。ひとりずつだと普通(でもないか)の兄ちゃんたちが、ふたり揃ってサンパチの前に立つだけで無敵ってかっこよすぎる。
そう、とにかくかっこよかった。なんてかっこいい漫才師だと思った。芸人さんと言うより漫才師と言う生き物に見えた。2人でないと存在し得なくて、口から出てくる言葉は全部漫才って言う特殊な人類。うそとかほんととか、ネタとか本音とか全部どうでも良かった。私は彼らの背景を全然知らないけれど、それが悔しいとも惜しいとも全く思わなかった。彼らの歴史を辿るライブを見ていながら矛盾するようだけど、今この空間の、ここで行われている漫才が全てだと思えた。
ロッキンオンJAPANの2万字インタビューの呪縛から逃れるのに10年以上かかった私にとって、これは希有なことですよ。



長丁場に頭痛もあって60分漫才では意識が遠のくところもあって申し訳なかったけど、最後はバスに乗り込みたい気持ちだったよ。良いもの見せていただきました。
漫才って言う楽しみを知ってて良かったなと思えた単独でした。
同時に、なんでこんなすごい技量を持った人がもっとちやほやされないんだろうと心底不思議だったのは阿部ちゃんに洗脳されたせいではあるまい。日本の首都の、お笑いの常設小屋で一番大きいところを、3月8日にたったふたりで満員にする人たちよ。漫才師が漫才師と言うだけで尊敬される世界こーい。



ナタリーさんよりセットリスト


1. ペーパードライバー
2. スフィンクス
3. 真剣10代しゃべり場
4. 中日
5. 服選び
6. SHIMANE TO TOTTORI
7. カラオケでは何を歌うべきか?
8. モノマネ
9. 巨人に入りたい


休憩


新作60分漫才