ドゲンジャーズメトロポリス第11話

「私だけ、違った」

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ほんっっっっとうに面白いなーーードゲンジャーズはーーーーー

なんかさ、ドゲンジャーズって大人がちゃんと大人で、そこが好きだなと思った。
私もライジンオーに胸熱くした小学生だったから、子供が世界を救うジュブナイルが子供を熱狂させるのはわかるんだけど、歳とるともう己の倫理感の許す幅がどんどん狭くなって、子供に何させてんねんってのが先に立ってしまう(なのでフィクションは本当に若いうちにたくさん摂取しておくべきだと思う)。
別に道徳教育みたいなフィクションが見たいわけじゃなくて、悪かったり危なかったりしても大人が大人としての筋を通してれば見られる。というかそういうのが見たい。

芥さんと白石くんの「あたりです」、名シーンだった……。予告で見て対立するのかと思ったけど、全然そんなことなかった。なにあの軽妙なやり取りに滲む信頼感。白石くんの笑顔が本当に比喩でなく輝いていた。あのシーンのライティング素敵だったな……。
新人だけど、「自分が結果を出さないと行政は動きません」とか「裁く存在じゃない」とか、白石くんもちゃんと大人なんだよなー。ヒャクトーバンの力を持ちながら、「裁く」のではなく「導く」って迷わず言えるってすごい。白石くんにはぶれないヒーローの姿が最初からずっとあるんだなと改めて思った。
たまたまシャンゼリオンは全話見てるんだけど、あれは「突然超人の能力を手に入れてその力を全然真っ当に使わない」という話だったなぁ。

ドゲンジャーズが支えているけど言わない、っていうのも、卑近な例えで恐縮だけど、社歴10年くらいのベテラン社員みたいでほんとに大人……って思った。いるじゃん大してできないくせに恩だけ売ってくる5年目くらいのやつ(私怨)。
ローカルヒーローって活動の目的も方針も営利か非営利かも全然違うから、お互いがそれに口出しせず一緒にショーやったりするって、すごい大人同士でないとできないよなと、ローカルヒーロー知った最初ごろに思ったことだった。
まぁオーガマンのロビイング(っていうのかあれ)が誰より特大の大人のムーブなわけだが。市長、いつか出ると思ってたけど来たー!って感じだったな。ノリノリ(笑)。

実況でタグ見てたら、ついに地元ネタが!っていうのを見かけて、自分が天神ビッグバンを全国区のニュースだと思ってたことに気づいた。いやNHKが連日やってたし……と思ったけど、私が見てる夕方のニュースは一日遅れのロクいち福岡だったわ(NHK+で見られる)。
知ったかぶりをする気はないし、もちろん地元ネタはわかんないし、というか、福岡の人がドゲンジャーズを見る楽しみと、県外民が見る楽しみっていうのは根本的に種類が違うと思っているのであくまで私は後者として架空の福岡を楽しんでるんだけど、会社行く日はアプリでアサデス見てるから、アサデスのスタジオからシリタカのアナウンサーが追い出されたってのも地元ネタだと一瞬わからなかった。
つまり私は、地元の感覚がわからない割に、他県民が見てもわかるくらいわかりやすい地元ネタは認識できないというバカの山ならぬバカの谷みたいなところにいるんじゃないだろうかという変なことに気づいてしまった。気づきたくなかった。

アクションシーンで一期OPをCDでかけるのとてもよかったけど、芥さんオーガマンだけじゃなくてドゲンジャーズの強火ファンなのかしら。
田中家のメンツが一期に戻ってたり、このアクションシーンもそれぞれの「啓蒙活動」(の拡大解釈)と思うと、今期は積み重ねてきたものがあるからこその原点回帰が結構あるのかなと思った。
頼木さんがオーバーラップする「ここはお願いします」最高にかっこよかったよ。ユズユズちゃんを頼んだ白石くん……! 最終回の予告が白石くんのあの言葉だけって、すごく良かった。
そう言えば今週ヤバちゃん戦ってないよな。最終決戦はヒャクトーバンvsユズユズなのかと思ってたけど、ヤバちゃん出てくるのかしら。


で、ここから長くなるんですけど。
シャベリーマンですよ。

いやもうちょっと、もう……、ねぇ!(言葉にならない)
片っ端から書くけど、あの夢に見そうな「モノなのに?」のとこ、ぎゅーってしようとしたユズユズちゃんを拒否ってSSAを装着させてるわけで、おおおお前の血は何色だー⁉︎
その後ももう「希望は必要なかった」とか「ハサミは紙が切れればいいだけ」とか、モノ相手だとそんな酷いこと言えんの⁉︎ってセリフのオンパレードでもう。
先週まで「はいユズユズちゃんほしかったもの」とか猫撫で声出してたくせに! モノとわかった途端「こっちにビーム撃ってね」じゃなくて自分を標的にさせるってほんと道具としか見てねー! お前の血は何色だ⁉︎(2回目)
しかし木っ端微塵になるかもしれないのに「あとは頼みましたよ、皆さーん!」って言える忠義はすごい。そんなに信じられる組織があるのすごい。そして監獄のヤバちゃんも「シャベリーやるじゃん!」って即理解してるところもすごい。
しかも最後に残った一人で後を託して散るのが唯一の人間てのが……! もう……!
「覚悟なんてしすぎてもう味がしないですよ」は、ほんとに日常的に覚悟完了してる人にしか書けないセリフだなって思った……。

最初からシャベちゃんは「これはきっと素敵なことが起きます」って言ってて、「もうあの子の物語に乗るしかないんですよ」、「脚本家の勘は当たるはずなんです」、で最終的にこれって、ユズユズをキーにした自分の筋書きに固執してるというか、自分で作った筋書きに自分で始末つけた感じがする(実在のシャベリーマンが脚本書いてるからややこしいんだけど、ドゲンジャーズメトロポリスの筋書きという意味でなく、劇中の悪の秘密結社の命運としての筋書きのことです)。

ずっとモノを粗末にしてきたユズユズが、モノはいらないってわかった途端に自分がモノだと教えられ、これまで散々「いらない」って言ってきた記憶(データ)がフラッシュバックする。
思えば今期は残酷さを映し出すことにかけてずっとずっと丁寧だった。
ハイスクールは、よくこんな優しい瞬間をまっすぐ描けるなと思っていたのだけど(めっちゃえらーい!のとことか)、なにが優しいかを知っている人は、その何十倍も哀しいことつらいことを知っている。今期はその、哀しいことつらいことの部分が映されているように思う。
「どんなよろこびのふかいうみにも/ひとつぶのなみだが/とけていないということはない」*1というけど、逆で、海ほど深い哀しみがあって、やっと一滴の優しさを見出せるんじゃないか。
ハイスクールの優しさを下支えしていたものはこれだったのかと、目の当たりにしているような気持ちで見ている。

この回を見るまでは、先週ユズユズとシャベリーマンの撮影会があったのはもうあの2人しか娑婆にいないからかなーとか思ってたんだけど、見た後に意味がわかったね。おおおおお前の血は何色だー⁉︎(3回目)
あくまで劇中は劇中、実在は実在なんだけど、見てるこっちは同じなわけで、いやもうほんと現実が相まって何倍も感情揺さぶるよドゲンジャーズ。お友達が撮影会に行っていたので、可愛い動画をたくさん見せてもらったのだけど、この回を見たあとだとほんとどういう顔していいかわかんないってなるな……。

しかし何が困るって、ここまで最低に悪に徹している悪役って、ちょっともう心底堪らんということだ。
一期のヤバちゃんもそうだけど、結社本当に言い逃れできないくらい悪なんだよな。悪役にも悪役の事情がありましたとかじゃない、ただただ悪い悪役って実は近年少ない。
ヒーローファーストが社是の結社にとっては当たり前のことかもしれないけど、ヒーローを輝かせるための純粋な悪はそれ自体も真っ黒に輝いてしまう。そんで難儀なことに、悪ってのはどうしようもなく魅力的なんだよな。それを問答無用で理解させられた。シャベリーマンに。

画面外の覚書

放送見たあとはその腕引っこ抜いていいよ!って思ったよね。

鈴村監督がお誕生日キャスで、元締センターの登場シーンがCGじゃないって監督が言ってたけど、何度見てもCGでない、というのがわからない。夜明けの道路綺麗だなということしかわからない……。

こういう、もう東京ではあんまやれないみたいな撮影の話とても聞きたい。

これほんと欲しいので、ステッカーでもマグネットでもないただの裏白のペラ紙で売って欲しい。

シャベさんの詐欺能力を認めてるキタキュウマン好き。

*1:谷川俊太郎「黄金の魚」より