日本一の室内犬@アリーナ

今日はもう大阪公演だというのに先週の話ですが、スピッツ初のアリーナコンサート(のふつかめ)を見にたまアリに行ってきました1月18日。もーあれからずーっとスピッツ聞きっぱなしです。一緒に行った母も家でライブDVDを視ているらしいです。
初アリーナでしたが、「こんな大きいところでやるなんて!」と言うよりもこないだzeppに行ったばかりだったので「こんなに頻繁にスピッツを見られるなんて!」という感動の方が大きかった。スピッツは一回のツアーが長いので各ツアーいちどずつしか行かない私みたいのは1年半から2年にいっぺんくらいしか見る機会がないのですよ。
あと私にとってスピッツ見るデフォルトが千葉県文化会館だからってのもあるかなぁ。行き始めた当初なにしろ高校生だったんでライブハウスはだいぶん後まで行かなかったんですよ。東京行くの電車賃かかるから(チャリ通)、サニーディとスーパーカーで手一杯だったなぁ(思い出話)。


たまアリは初めてだったんですが高さがすごいなと。縦は横アリとか城ホよりぜんぜん短い正方形っぽい会場でしたが上が高かった。上の方のお客さんは座ったままのひとが多かったけど、立たなくても見えるからなのか、それとも立つと怖いんだろうか。
大きい会場と言うことで普段は見ないような壮年のご夫婦とかもいらっしゃっいました。男の人も多かった。しかしスピッツファンてどんなに人数集まってもやっぱり「らしい」んだなぁ。あきらかに日本の平均より低い茶髪率(金髪とかほぼ皆無)とそのまま出勤もできますくらい(地味というのではなくひじょーに常識的)な服装。なんかみんな普段ちゃんと働いてそうと言うか。ズルしても真面目にもと言うか。
でもそんななかでもいちばんらしいのはやっぱりスピッツで、もうほんとに相変わらずだった。別に会場が大きいことに関して心配とかはまーったくしてなかったんですが、もう期待通りのスピッツでした。セットリスト変わるとは思いますが以下曲名に触れるので隠します。すっげムダに長いよ!


この間までのツアーのセットリストが元になっていたけど、大きい会場=初めての方を意識したのかな、95年以降のいわゆるブレイク期のシングルをたくさんやってくれました。「14年前の曲を」と言って始めたのが「ロビンソン」で、これはライブではひっさびさに聞いたなー! カップリングの「俺のすべて」の方がよっぽど頻繁にやるんだよなぁ。この日ももちろん。大好きです。「涙がキラリ☆」以外はかなりやった気が。「空も飛べるはず」「渚」「チェリー」「スパイダー」。
私は「空も飛べるはず」ではまった口なのですが、これもライブで聴いたのは久々。そしたら当時よりも格段に素敵だった……! マサムネさんの声が素晴らしかった。この日は母と「今日はマサムネくんの声がいつにも増していいねぇいいねぇ」と言いながら聞いていたのですが、空飛べで特にそう思った。ご本人が「そのうち高い声でなくなるのかと思ってたけど相変わらず出るのでジャパネットたかたの社長を目指します」と仰っていたように高音は言わずもがなのマサムネさんですが、あのちょっと低いキー歌うときの掠れたような手触りも年々増してる。ますます素敵。
あと崎ちゃんのドラムが素晴らしかった「渚」。この曲のドラムはもともとリズムというより旋律のようでとても好きなのですが、もうとっても美しかった。流れるような。


スピッツの照明はそれひとつでもう作品のようなすばらしいものなので、あれが大きい会場でどういう事をしてくれるのかなーというのが楽しみのひとつでした。こないだのツアーでも一番好きだった「点と点」のあの、緑の照明の中で紫のサーチライトが何かを探す目玉のようにぎょろぎょろと蠢いて不穏な空気を醸し出す照明が健在だったのが嬉しかった。しかも最後の「一緒に行こうよ」でマサムネさんの声だけが響くその瞬間後ろからカッと強い無色の照明が仁王立ちのマサムネさんをシルエットで浮かび上がらせる演出が! もおおおおちょうカッコ良かったー!
あと「砂漠の花」だったかなー。ちょっと曲を忘れてしまったんだけど。メンバーの後ろの低い位置にあるモニターがそれこそ砂漠の砂のような色に光り、メンバーがシルエットでしか見えないあの照明もすごかった。大胆だけど格好いい!
左右に何て言うんだろう、千社札みたいな長方形のモニターが互い違いに6枚ずつかな? 下がっているんですが、そこに映る映像も曲に合わせて色のトーンを変えてあるので照明の一部という感じでした。その向こうにも更にモニタがあって透けて見えるような映り込むような……。
メンバーの上空は障子のような白いスクリーンが4段くらいに分かれて張ってあって、そこにはとても簡素な電飾しかついていないのですが(裏からの照明を受ける役割をしているんだと思う)、地味かなと思ったそれは、たまアリの高いステージの上空の空間を意識させない機能を持っていました。ほらスピッツちっちゃいから。ほんとは180あるらしいけど(笑)。あれがあるおかげで意識せず地上のメンバーに視線が集中できたように思います。


この日に初めて生で聞けたのは「ハニーハニー」。92年の曲ですね。私は最初に行ったのがトンガリツアーだった、はずなので(空飛びには間に合ってないと思う)、95年より前の曲は聞いたことないのも多いのですが、スピッツはこんなふうにひょっと古い曲をやってくれるので、ほんとに恵まれてると思う。
昔は、インディーズ時代の音源を探すのに血道を上げたこともあったけど(まぁインターネッツが普及してなかったからできることは限られてたけど)あるときから全然しなくなったなぁ。スピッツが、聞かせたいと思う物なら、良い時期に良い形にして聞かせてくれるんだと言うのがわかったから。今ならしかるべきところを探せばごろごろしてそうですけどね。


スピッツのライブに行くと、ああ私ってスピッツファンだなぁと思う。ある曲を聴いていて、「ああこの次にはこの曲が聴きたい!」と思うと、たいていそれが始まるから。この人達の好きなものが、私の好きなものなんだと強く思う。
この日は、「P」の後の「楓」がまず震えるほど嬉しかった。「さざなみCD」の中でいちばんくらいに好きな「P」をバンド編成で聞いたのは初めてだったんだけど(GOスカで初めて聞いたときはマサムネさんひとりの弾き語りだったと思う)、スピッツってほんとーにうまいよなぁ……。最初、ほとんどマサムネさんの歌だけが聞こえるような状態からはじまって、2番から音も主張し始めるんだけど何て言うんだろう、みんなが、ちょっとずつちょっとずつ音を出してる感じというか、壊さないように、大事に音を奏でているその姿勢というか、それがもう「P」の世界観そのまんまで、生でもあんなに音を絞れるのか、それであんなに引きつけられるのかと。
その後が「楓」。もう泣かせに来てるな(笑)!
そして終盤に「トンガリ’95」が始まって、これももう10年ぶりくらいか。がーっと上がったテンションで「8823こい8823こい」と念じていたらまんまと「8823」。もう来たー!しか言えない。しかもその後が「俺のすべて」ってもう完璧すぎる……!
出た時期も、アルバムもバラバラの曲を、あの膨大な曲数の中から過たずこれとこれとこれ、といちばん聞きたい形で出してくれる。聞かせてくれる。普段自分がスピッツファンだって特に意識しないし、カレンダー飾ったり雑誌のインタビュー読んだりもしないけれど、ああでも、私の好きなものはやっぱりここにあるんだと、ライブに行くと確信する。


最後のMCというかメンバー紹介の時に、田村くんが「(解散しないから)再結成もしないけど」と言ったらマサムネさんが「再結成楽しそうだよね!」と本気で言ってたのがおかしかった。解散しないで再結成だけしちゃう?と言うその話があんまりおもしろかったので、次の日会社で音楽好きの同僚に話したら「やめないって宣言してくれるなんて、良いですね」と言われて気づいた。そうか。もう、それが嬉しいとか感激だとか、思わないくらいスピッツにとっては当たり前だと思っていた。やめることなく、ずっとずっと続いていくというのが。奇跡のようなありがたい話だっていうのに。


セットリスト

  1. ルキンフォー
  2. Na・de・Na・deボーイ
  3. けもの道
  4. スパイダー
  5. 不思議
  6. 点と点
  7. チェリー
  8. 砂漠の花
  9. ハニーハニー
  10. モリーズ・カスタム
  11. 恋のうた
  12. P
  13. ロビンソン
  14. ネズミの進化
  15. 夜を駆ける
  16. 僕のギター
  17. トンガリ’95
  18. 8823
  19. 俺のすべて
  20. 漣 

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  1. 群青
  2. 空も飛べるはず
  3. 春の歌