博多〜天神

昼過ぎの新幹線で博多に着いて、大賀ビルの前を通って(自販機で炭酸水買って)ホテルに。荷物を預かってもらおうと思ったらもうチェックインできるとのことだったのでちょっと休憩してから歩いて天神に向かいました。ホテルは住吉のあたり、わざと駅から歩く位置にしました。とにかく街のサイズ感が知りたい。徒歩で行けるのはどれくらいなのか、どの程度から地下鉄なのか、みたいなのが全然わからないので今回は歩くのが主眼みたいなものです。
お昼を食べていなかったのでひらお大名店に行ったのですが、15時過ぎだというのに評判のラーメン店くらい行列していてまじかよとなって先にパルコのドゲンザらスに行きました。

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表札が思っていたより小さい! ていうか布かこれ!
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マネキンがサービス残業の装備着てるのシュール。

前から行ってみたかった書誌侃侃房がやっているajiroにも行けました。当初は19日を小倉にするつもりだったんですが、22日はajiroが休みだったので先に博多をうろうろすることにしたんでした。

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ルーキーが変身したとこ!
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親不孝通りでこの看板を撮っていたらかなり本気の奇異の目で見られる。

17時過ぎにもう一度ひらおに行ったら今度は空いていたので、やっと悪事を忘れるうまさを体験できました。まじでうまい。ていうか揚げたて天ぷらが次々出てきてこの値段、このシステム、東京にも欲しい。天ぷら凄い好きなのに、ひとりで家で揚げるとせいぜい2種類しかできないんだよー。熱々を食べるのに忙しくて写真は撮り忘れました。

後はいつも通りリストアップしてきたアッシュぺーフランスの店を巡ってデパートをあちこち見てたんですが(日本中どこに行ってもやる)、やっぱり天神イムズが好きだなぁ。アッシュぺーが3つも入ってるし、もう東京にはなくなっちゃったUsagi pour toiがあるんですよね。あと、最近有楽町のルミネで一番好きな1er Arrondissementが入ってて、店員さんに聞いたら九州でここしかないらしい。イムズも来年の8月には閉じちゃうそうですが、リニューアルとかするならまた行きたい。

西鉄バスに乗ってみたかったので、帰りはひと区間だけバスに乗りました。バス停で待っていたら周りの人がうわーっと後ろのバス停に移動しはじめたので何事かと思いながらついていったら、近くにいた人が「どっちのバス停に来るかわからないから不便だよね」と話していて、どういうシステムなのかいまだにわからない。幕張走ってるみたいな2車両のバスでした。

バス停を降りたところにあった大賀薬局でネイルを買って、ホテル近くのパン屋でパンを買ってこの日は終了……ではなかった、ネイルを塗るまで寝られなかった。



20(日) キタ&シャベと行くロケ地巡礼ツアー
21(月・祝) かしいかえん〜キャナルシティ〜大濠公園
22(火・祝) 小倉

経緯と逡巡

6/28

クラウドファンディングでツアーを申し込んだ日。この日の東京都の感染者数は60人(私は一応都民です)。2週間先の状況もわからないのだから3ヶ月も先の事なんてわかるわけがない、なるようにしかならないけどこれを申し込まない理由はないだろうと、申し込み自体は全然迷いませんでした(ていうか申し込んだ後で日程と金額を確認した)。
もしまためちゃくちゃ増えて緊急事態になったらツアー自体が中止か延期になるだろうし、そうでなければ大手を振っていけるだろう、くらいしか考えておらず、東京だけ感染者が多くて移動できないかも、というのは、そのときは想定していなかったような記憶があります。

7月〜8月半ば

行けるかどうかなんて考えても仕方ないので考えないようにしていたんですが、まさかこんなだましだましというか、積極的に感染者が減る政策もなくお願いと都民の努力ベースが続くとは、こんなに全てが自己判断と自己責任になるとは、ほんとにつゆほども思いませんでした。
だんだんと、どうもこれは、自分が罹患しない限り「不可抗力で行けない」ということはないな、と思うようになりました。8月20日ごろの滝さんと笹井さんの沖縄出張の時のキャスを聞いていて、自粛より経済を回すべきと強く考えているのがわかったので、そういう意味でも中止はなさそうだなと。ただ、沖縄で2人が飲みに行ったお店は全部貸し切りだったと聞いて、ツアーをやるならちゃんと対策してくれるだろうなとも、同時に思いました。

8/23

友達に会って話を聞いてもらって、自分の体調に変化がない限りは行く方向で準備しようと決めました。博多に行く前に外食したのはこの日が最後です。ちなみに私の状況ですが、4月から完全在宅勤務で出社は月1〜2日、同居の家族無し、持病無しです。この日の外食も1ヶ月ぶり、電車に乗ったのが1週間以上ぶりとかで、多分都民の中でも相当外に出てない方だと思います。なので、どんどん外出のハードルが上がっていくんですよね。このままだとメンタルがやられるかも知れないという危惧はありました。
余談ですがこの日に目白から池袋まで歩いただけで股関節が痛くなり、テレワークで萎えた脚のやばさに気づいたので、これでは博多を歩けないと青くなってスーパーに行くのも自転車を止めて歩くようにしました。

9/1

campfireからツアー予定のメールがきて、前乗りと決まる。

9/3

ホテルを予約。絶対湯船に浸かりたい派なので普段は大浴場のあるところにするんですが、今回はなるべく人と接しない方が良かろう、3泊するのにユニットバスじゃ無理、で、洗い場が別になった部屋を探して1人でツインに泊まりました。4連休中の3連泊でツイン1泊5千円切ってて旅行業界ほんとに大変だ……と実感しました。別に頑張って安いところを探した訳じゃないのにこの値段。ていうか、普通ならホテル空いてるわけないよなぁ。

9/14

新幹線を予約。最後まで迷ったのが交通手段で、普通に考えたら飛行機なんですが、私は人生で4回くらいしか飛行機に乗ったことがありません。自分でチケットとったこともない。この5ヶ月間まともに出かけていないために外出のスキルが著しく下がっているのは自覚していたので(月1回の出社の時スマホ忘れたりする)不慣れな交通手段選んで博多に辿り着けなかったら困るなーと思っているうちに飛行機の安いチケットが無くなり、新幹線の早割17,310円がぶっちぎりで安くなってしまったのでもう往復新幹線にしました。帰りは小倉から乗るつもりだったので、もともと新幹線のつもりだったんですが。

9/18

都内の感染者が220人で、「行って良いんだろうか……」と悩んでしまって全然支度が進まない。母に電話して愚痴を聞いて貰って、どうにか支度を終えました。私は行くか行かないか悩んでる間も、「とりあえず行く権利はある」と思っている方が気が楽だったんですが、こんなにギリギリまで悩むなら、いっそ選択肢がない方が楽だという人もいるだろうなぁ。


19(土) 博多〜天神
20(日) キタ&シャベと行くロケ地巡礼ツアー
21(月・祝) かしいかえん〜キャナルシティ〜大濠公園
22(火・祝) 小倉

愛のなんたるか

愛のある作品があれば、愛のない作品もある。フィクションにおいて、作品に込められた愛は、直接には物語の行方を左右しない。
まぁでも、ないよりはあった方がいいよねと漠然と思っていた、そしてそれ自体も漠然としていた「愛」がなんなのか、なんのためにそこにあるのか。福岡のKBCで放送されている「ドゲンジャーズ」を見ていていたらあまりにもはっきりとわかった。

作品に込められた愛は、よく磨かれたレンズのように、見ているものの目の中にくっきりとした像を結ぶ。それも、映した対象の実像すら凌駕するほどの一番魅力的な姿で。

そもそも九州も九州のエリアヒーロー*1も全く知らなかったのに「ドゲンジャーズ」を見ようと思ったのは、荒川史絵監督がメガホンを取ると聞いたからだ。
荒川監督はトッキュウジャーのVシネマ「行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号」を撮った人で、これがもうストーリーや展開の起伏ももちろんだけど、全編に愛にあふれた素晴らしい作品で、誰彼構わず見せたいくらい大好きだ。秋葉原で荒川監督と明役の長濱慎さんが対談したときは、すでに受講料払っていた区の体操教室すっぽかして行ってきた。
Vシネマを見たときに、自分がそれを押川さんの引退作品と認識していたかどうかは定かではないのだけど、素面の押川さんの姿は知らなかった。でも、変身後のトッキュウ1号と子供のライトが並んで歩くシーンと、エンドロールの先生を見たとき、あ、この人が押川さんなんだとわかった。言われずとも確信した。
あの作品に込められた監督の押川さんとトッキュウジャーへの惜しみない愛が、無知な私の目をそこに向けて、言葉や台詞で語らずとも教えてくれた。

九州とヒーローについて何の知識も思い入れも無いはずの自分が、見進めるにつれて、どっちのこともどんどん好きになってなんかちょっとおかしいんじゃないか?というくらいテンションが振り切れてきたのが3話だった。
何度も言うけど、九州についても、エリアヒーローについても、なんなら特撮そのものだって見始めてまだ1年だから知らないことばかりだ。九州に住んでいる人なら、昔からエリアヒーローを好きな人なら、特オタなら、きっともっと深くからドゲンジャーズを見て私には思いもつかないような楽しみ方をしているだろう。私はドゲンジャーズを形成する幾重にも重なったレイヤーの、一番上の表面を見ているに過ぎない。
それでも画面に映る九州と彼らがあまりにも魅力的で、無知でもこんな素敵なものが見られるんだからいいや、ひらおと鬼丸ホームのCMは見たいけど、と思っていた。

気づいたのは6話だったと思う。フクオカリバーさんの回。唐突にわかった。私は自分の視力と理解力で彼らを見ているんじゃない。
思い出したのは、小学生の時に初めて眼鏡を作った時のことだった。重たい検眼用眼鏡のレンズをカシャンと入れ替えた瞬間に、ぼやけていた世界がはっきり像を結ぶ。
そんなふうに、ドゲンジャーズは無尽蔵の愛で、あの土地が、彼らが、もっとも魅力的であるようピントを合わせた像を作りだし、見るものの目に映していた。

私はエリアヒーローのガワが代替わりするということも知らなくて、なのでフクオカリバーさんが8年間同じ姿で戦ってきたことも、ドゲンジャーズ出演のタイミングで姿が変わったことももちろん知らなかった。
でも6話を見ただけで、その姿で戦い続けることの大変さや積み上げてきたものが胸に迫った。教わらずとも、わかったのだ。

そう思って一挙放送を見れば、なるほどと思うことばかりだった。
ドゲンジャーズで知ってから、それぞれのヒーローについても色々検索していた。そのたびに、なんというか、納得ばかりしていた。まるでもう知っていたことが補強されていくような感覚。
エルブレイブさんがプロレスラーとヒーローとの二足のわらじで活動していること、そのお披露目が八幡建設のイルミネーションのイベントだったと知った時は、1話から同僚の皆さんと一緒だったしおやっさんめっちゃ良い人だったもんなぁ、とか。
どこまでもかわいくあざといヤマシロンが食育の活動していると知ったときは、ちいさな存在を慈しむのはいかにも彼ららしいなぁ、とか。
何も知らないはずの私が、大事なことを知ったような気になっている。それはドゲンジャーズで出会っているからだ。彼らが最も彼ららしく、魅力的であるような姿で。

それで何が言いたいかというと、キタキュウマンなんですけど。
ここまでの11話でキタキュウマンのこと好きにならないでいられる人いる!? 無理でしょ!? そもそもああいうどこまで本気かわからないひょうひょうとしたキャラクターなんて好きに決まってんのに9話からのギャップ! 本気で怒って袂を分かったと見せかけて単身宿敵に乗り込んで戦ってやられて独白からの慟哭ってどんだけ……どんだけ負わせるのそして引き受けるのしかもかっこいいの……!

ここのところ暇さえあればFMキタキュウマンの過去回を聞いて、イオンモールでのショーの動画を見て、キタキュウマンの過去のツイートさかのぼってるのだけど、どこ探しても10話11話ほどかっこいいキタキュウマンはいない。でも、飯テロのキタキュウマンがドゲンジャーズのキタキュウマンを演じているのは確かに地続きだった。物語前半のちゃらんぽらんぶりと、人を喰ったようなツイートのなかに見え隠れする芯の合わせ技がそう思わせるんだろう。なんであれそう思ってしまったんだからもう負けである。
最初に一番かっこいいところを見てしまって、それが実像*2とブレがないなら、もう調べれば調べるほどに魅力が補完されていくだけである。私は今北九州市の観光スポットをGoogle Mapに保存する作業に余念がない。

シャベリーマンさんが、どれほどエリアヒーローたちのことを思ってこの脚本を書いたのか、それは今の私のこのはまりっぷりが証左と思う。ひとりでも多くの人に彼らを、彼らの良さを伝えたいというドゲンジャーズに込められた愛は、過たず彼らの一番素敵な姿を見るものひとりひとりの中に形作った。光輝く彫刻のように。

キャラクター造形や脚本だけでここまで書いてしまったけど、演出やアクションのひとつひとつやロケ地にも、すべて愛が詰まっているのがひしひしとわかる。わかるけれど無知な私に解説はできない。でも朝倉の三連水車を覚えた。

明日の最終回、彼らの勇姿がどう描かれるのか、自分の目に映るものが待ち遠しくて仕方ない。これまでで一等素敵な姿が見られるに決まっているから。

*1:ご当地ヒーローとかローカルヒーローとか色々呼び名はあるようだけど、ここでは悪の秘密結社の発行物に掲載されていた漫画の表記に従っている

*2:といってもそれもキタキュウマンとして演じられた姿で、それを演じるのは滝さんで、滝さんもさらに演じられたキャラクターだけど