ドゲンジャーズメトロポリス第2話

「自分、こういう者なんです」

nico.ms

やっぱりドゲンジャーズってつくづくおもしろいな! 2話!

何はさておき終わった後の感想がほぼピザだったんですけど。
劇中で出てきたピザが、直後のCMで実際に売られてるって、ほんとにドゲンジャーズにしかできない。
しかも去年は1話のグレイト2くんがピザ持ってきて、涼子ちゃんが閃いたところで明太スーパースターフォーのCMだったから、むしろ現実の方が先だったんだけど(涼子ちゃんが描いた明太ピザの絵が写ったのは1話ラスト)、今回はばっちり本編で映った直後だったから、リアルに「ほんとにあんの⁉︎」って声出たわ。最高のタイミングすぎる。第1週からでも売れるだろうに、販売体制整えて2話で映るまで待ってんだもんな……。ピザクックさん全面協力すぎる……。
終わった後友達が実際に注文してほんとに食べてるの羨ましくて仕方なかった。こっちから見ると、福岡の人みんな次元の壁を超えてるように見えるけど、超えるも何ももともと同じ街に住んでるんだもんな。

壁を越えるといえば、今回はいわゆる「第4の壁を越える」演出がある。田中くんが派出所前でこっちにむかって笑いかけるシーンと、シャベさんの初登場シーン。キタキュウマンが不思議そうにしてたのと、通りがかりの女性に話しかけてた体にしてあるあたり、全面的にストレートにそれというわけでもなさそうだけど。画面のこちら(の位置にいる女性)に向かってシャベさんが話す内容が、また実際に放送されていたtouchのことだからますます現実とフィクションの境が曖昧になる。
長岡アナのヒャクトーバンの説明も、毎回入るんですね。あれははっきりテレビの前のお子様向けだし、ハイスクールの時の同じく長岡アナによる真子ちゃんの生い立ちからの説明とはちょっと種類が違う。
第4の壁を越えることについてはやらないようにしてるってどこかのシーズンの解説でシャベさんが言ってた気がするから(うろ覚え)、今回は意識してやってるんだろうか。
ちょっとやっぱりデッドプール見た方がより楽しめるかもしれないので放送期間中に見よう。

完全に順番が前後したけれど、白石くんがびっくりして変身する=変身ムーブがないって斬新だなあと思った。普通絶対見せ場なのに(笑)。OP見るにかっこいいのもありそうだけど! ルーキーの変身も全部変えてたり、ちょっと妙なベクトルで変身が凝ってるドゲンジャーズ。
SSAは諸刃の剣みたいだし、リモコンで変身解除もできるみたいだし、特殊活動服が必ずしも白石くんの全面的な味方ではないのかもしれないのが心配だな……。
警察周りもまだ謎が多いけど、先週「なんで桜田商事って民間会社が開発してるのにマッドサイエンティスト課長は警察所属なんだろう」と思った謎だけは解けた。偽名だった。
警察といえば、警察がシミュレーションにヤバちゃんのホログラム使ってるのいいですね! ヤバちゃんがちゃんと治安を脅かす脅威として警察に認識されている! 悪者っぽい!
法律のところはちゃんと誰がどれに抵触してるのか書いてて芸が細かい! 警察から見たら、ドゲンジャーズも悪の秘密結社も等しく法を犯しているの可笑しかった。
萩野さんは警察側なのかなぁ。とにかくダンディなことしかわからない……ブラックモンブランが今以上に爆売れしてしまう……。

わからないといえばなんで今回はメタルくんがずっと一緒にいるのかもわからないけど、それは理由とかどうでもいいからずっっっっっっっといてほしい是非とも。背中に剣を隠すのかわいいことかわいいこと(メタルくんはなんでもかわいい)。

シャベさんが「珍しいですね」って言ってたのは、ビンちゃんが戦ってる(?)ことなんだろうか。ユズユズの存在自体のことだろうか。野良のヴィランてそりゃ珍しいが。
今シーズン始まる前に「リターンオブへし切長谷部」を見直したんだけど、ビンちゃん戦おうとする前にあの発声装置を外しておこうとしていた。あれはただのスピーカーじゃないのかしら。

私はあのテープカットの場面の背景で、普通にガンガン車が通ってるドゲンジャーズが好きなんだけど、あんなふうにロケ地で住んでる街が映って、画面に映ったものが食べられて、土日ともなれば実際に会いに行けるんだから、あの街の人は本当に現実の地続きみたいに感じるのかしら。それとも遠くから見てるから境目が曖昧に見えるのかしら。
一期からずっと言ってる「実在している」をより強く感じるのは、ビュッフェができるほどスポンサーが増えたからなのか、イベントが増えたからなのか。それとも4期がそう見せているのか。

画面外の覚書


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だいたい毎年、主にTwitterでの場外乱闘が凄すぎてどの話の時に何やってたかわからなくなるからこっちに書き留めておいたんだけど、画面外なのか中なのか完全にわからない事案。これでこそドゲンジャーズだわ。大好き。
去年までこれどの期間のことを何話のとこに書いてたんだっけ……自分でやっといて思い出せない……。1話放送後から2話放送時間までのことを2話のとこに書く、だったと思うんだけど。とりあえず今期はそうしよう。(5/5追記:メイキングとどげんshortや撮影裏話はその回のところに書くことにした。追記ここまで)

youtu.be

これも現実との境が溶ける案件。シャベちゃんの動向を知らないヤバちゃんがかわいすぎる。


関家具さんのパロディCM、まさか別バージョンあるとは思わなかった。

ユズユズのメイキングは、セリフ以外の声がちょっとオフっぽい感じがして、ほんとに俳優さんの演じてるドラマのメイキングみたいで好き。

ドゲンジャーズメトロポリス第1話

「自分、こういう者です」


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今年も始まったー。おめでとー。
YouTubeでリアタイした時は例年に比べてちょっとゆったりしてる? 5分長くなったから?とか思ってたんだけど、その後MXと夜のニコ生は相変わらず体感秒だったので、集中して見てただけだったみたいだ。

毎年あまりにも予想外のところに連れて行かれるので、何話までの時点でなにがわからなかったのか、わかるようになったらわからなくなるのが惜しくて放送期間中はなんか毎週書き留めているのだけど、初回はさすがにわからないことしかない。
わかる部分を拾い集めると必然的に先の予想みたいになるので、予想はしたくない(というか絶対当たらない)ので来週からにしようかなと思ったんだけど、でもやっぱりなにがわからなかったのかわからなくなるのが惜しいという私の変な貧乏性ゆえに書いている。
まぁまだハテナさんも萩野さんも出てないからなぁ。予想もなにもないんだけど。
というか、予告で三つ巴!って言われていた一角が初回で壊滅するなんて夢にも思わないよ! ユズユズに押川組への帰属意識とかなさそうだし、押川組これで終了なのかしら。

これまでの3年で、終わってみて思い返せば一番芯食ってたなと後になってわかるのが、キャッチコピーとOPの歌詞だった。
今年は「実在するヒーロー、実際のヒーロー、」
単純に前者がドゲンジャーズで後者は警察のことなのかなと思ってたんだけど、最後「、」で終わってるんだ(今気づいた)。これはこの後に何かを続けることもできるなぁ。
「実際のヒーロー」も単に警察のことじゃないような。
白石くんにとって、「実際のヒーロー」はおそらく迷子になったとき助けてくれた警察官で、その人を目指してるんだとしたら、歴代主人公の中で初めて、変身しない人間が目標のヒーローなのかもしれない。田中くんと真子ちゃんはドゲンジャーズそれぞれの正義を学んだし、陸くんはグレイトシリーズとそれをやってたお父さんが好きだし。
いや待てよ、白石くんを助けてくれた警察官が生身の人間て保証はないな。修羅の国だもんな。
OPの歌詞も、「君みたいなヒーローになりたい」ってところが今までとちょっと毛色が違う気がする。ドゲンジャーズはみんなちがってみんないいだから、「みたいな」ってところが気になる。あと「褒めて伸びる」も(いい意味で)すごく引っかかるところだけど、これはいつものシャベさん節にしか聞こえないけどはらけんさんすごいのやつかしら。

個人的にものすごく気になるのがマッドサイエンティスト兄弟なんですけど、あそこの掘り下げ回はありますか……! なんであんな息ぴったりのなのに仲悪いの。あんなにユズユズとヒャクトーバンの機構が似てるなら、途中までは一緒に開発してるでしょ。どっかで仲違いしたんでしょそれまでは仲良かったんでしょそこんとこ詳しくできれば幼少期から‼︎
兄弟といえば、ヒャクトーバンとユズユズも兄妹機ってことなんだろうな。私特撮あんま数見てないから特撮にそういうのがあるかよく知らなくて、先に「パタリロ!」のαランダムとプララが出てきちゃうんだけど。
いや私シャベさんの書くキタキュウ兄弟が好きだからさぁ。キタキュウ兄弟の描写そんな多くないのにこれだから、シャベさんの思う「きょうだい」を、がっつりでも垣間見るのでも、できたら嬉しいなと思う。

ユズユズがドゲメンの大事なものを集めに行くようだけど、人が装着するヒャクトーバンの欠点(装着者への過負荷)をなくすためにAIを搭載したということは、似た機構のユズユズは空っぽのガワってことで、がらんどうのからくりが人の大切なもので自分を満たそうとするのかと思うともう切ない。ましてや二重人格みたいで自分が誰かもわかってないんだとしたらどうしてもアイドールちゃん思い出しちゃう。ユズユズには帰る家と仲間ができるといいな……。

しかしユズユズめっちゃ可愛い。MAKOちゃんの時も思ったけど、私に女体っぽいガワにものすごい苦手意識があるのをのけても、女体を強調しないとすごく現代っぽくなるんだなと思った。あのオフショルっぽい外装可愛すぎ。

ところでこれは番組のというより私の変化なのだと思うけど、「やはり私は福岡のことが何もわかってない……」と改めて感じている。
私にとって組事務所構えたヤクザって、リアリティラインで言うと中世ファンタジーのドラゴンと同じくらいのレベルなんだけど、多分福岡の人が見たらこれはもうちょっと違った実感を伴うんだろうなーと。
まぁ以前だったら「福岡の人が見たら違うはず」というのもわからなかったので、バカの山を下って絶望の谷に向かってるところなのかもしれないけど、何かのファンでいるのなんてバカの山のてっぺんで裸踊りしてるのが一番楽しいんだから。

画面外の覚書

何はさておきKBCの体制が変わりましたね。正直よくわかってないけど、どこでもアサデスの配信が終わらなくてほんとーーーーによかった。
ミセタカくんがいなくなったのはこれだったのかとやっとわかった。代わりにユーチューニャーのニャーちゃんの着ぐるみができるとは思わなかった。

今年は初回放送前日に、いろんな人が配信してたのが印象深かった。シャベさんがキャスやってスペースやってキャスやってたのは落ち着かなかったからかもしれないけど、土屋シオンさんやFukiさんのスペースにキャストやスタッフの皆さんも参加してて、これは去年までとは確実に違うなぁと。
巻き込む人の数が多くなり、その人たちが巻き込む人の数もまた多くなり。まぁ私がドゲンジャーズを知ったのは一期初回放送の開始の瞬間なわけで、一期開始前のことは知らないのだけど。そして今でも初回前日にシャベさんとキタさんがやってたキャスが聞きたかったと執念深く思ってるけど(アーカイブない)。
先週の土日はたまたま実家にいたので、近くで聞いてた母が「選挙前の駆け込み訴えみたい」と言っていた。ちょうど統一地方選挙の前日だった。


エストさんのコラボキャンペーン、ついにあのウエストさんがスポンサーに!という感動もあってとてもいい。参加したいが千葉の店舗ではやっていない(関東8店舗中7店舗が千葉にある)。でも嬉しい。


関家具さん今回もコラボCMありがとうございます。

このツイート見て、AHKがあるけど結社のエントランスこんなにお洒落なの……?とか思ってたけどこのCMだった。

CM単体では上がってないけど、山根精機さんの内緒同盟のCMもいいですね。改めて考えると、ピザクックさんとふくやさんのキャラクターがよその企業のCMに出てるってどういうことだろうと思うけど(去年のフィンジアもだが)、この懐の深さが福岡の企業文化なのかなぁと思う。


今年もメイキング嬉しい。ダンゴさん原作aoさん作画のどげんshortもめっちゃ嬉しい!

砂遊び

KYE祭 第1部
キタ:閑散期イベントスックネー‼︎祭
ヤバ:キタキュウマン10周年おめでとう!ここが貴様の墓場だパーティー
エクス:二人にイベント名考えさせるんじゃなかった
3/19 あるあるCity B1スタジオ 12:00


なんで笹井さんがヤバちゃんに入るんだろう、若しくは、なんでシャベさんじゃないんだろう。告知画像を見て真っ先に思ったのはそれだった。

スーツアクターをどのくらい表に出すかは運営ごとに違うけど、私は一番よく見に行く結社がアクターをクレジットしないのと、単に動いているところを見てもどの人かわからないという理由で普段あまり気にしていない。
が、今回は最初からヤバちゃんが笹井さんと告知されている。笹井さんがヤバちゃんに入ったところ見た事ないし、明かされているならそれを理由に見に行くのもいいだろうと思った。
結果、行ってよかったし、見られてよかったし、ヤバちゃんを演じたのが笹井さんだということで物語もアクションも刺さりまくってしまったのだけど、予告されていなかったら見ても中身が笹井さんとは絶対わからなかったと思う。それで、笹井さんと知らないで見た時と、知ってて見た実際のところでは、受けた衝撃が全然違ったと確信できてしまう。
これはどうなんだろう、予備知識ありきの感想は、ショーそのものの感想なんだろうか?と思わなくもないのだけど、でもなぁ、肩書きとレイヤーがいくつあるのかわからない人のファンやってて、そもそもその多重構造あっての今のはまりっぷりなのだから、そのどれかの要素だけ抜き出して感じるとか無理なので、見たものを見たままに書くしかないのだと思う。

見終わって、なるほどこれはシャベさんじゃなくてヤバちゃんでないとダメだし、そのヤバちゃんに笹井さんが入る意味があるショーだと思った。なんて冷静に思えたのはチェキ会も済んだ後だけど。

キタキュウマンの10周年を祝うヤバイ仮面の行動は社会人として真っ当で、どこにも非難されるようなところはない。
でもキタキュウマンだけはそれに違和感を持ち、違和感を持たれたことをヤバイ仮面は気づき、そのことによって、自分自身の行動指針がずれていることに気づく。
ここで描かれているのは、自分よりも自分を理解している他人がいて、さらに、自分自身がそのことを自覚している、という、普通に生きててあまり目の当たりにしないくらいの深くて濃い関係性だ。
ヤバちゃんがどこから来たのかとか知らないというか出自の設定があるのかすら実は知らない。最初のPVで「この地球を」って言ってるから、なんとなく外宇宙から来たのかなと思ってたんだけど、なんかもう、どこから来たにせよ、この宇宙の片隅でこんな理解者に出会えてよかったねと心から思った。
いや心の中はお祭り騒ぎでしたけどね。私一期で一番好きなセリフはヤバイ仮面の「お前を甘やかした俺にも責任がある!」ですからね。ショーの最中、何度カメラ投げ捨ててメモ取ろうと思ったことか(我慢した)。
そんな理解者であるキタキュウマンは終始、ヤバイ仮面に働きかけてこない。ただ受け止めて、その反応から、ヤバイ仮面は自分でも気づいていなかった自分に気づく。気づかせようとすらしていない。ヤバイ仮面が勝手に気づくだけで。
自らは動かない。でも、ヤバイ仮面が斬りかかってきたら受け止める。バチバチの決闘が、ヤバイ仮面の本当に楽しいことであるとキタキュウマンにはわかってるから受けて立つ。あの、あの戦いたくない人が! 剣と銀鱈ブレードで一騎打ちを!

この全部の、中に入っているのが滝さんと笹井さんという現実のビジネスパートナーであるということを、さっぴいてはとても見られない。
10周年を祝うヤバちゃんの中身の笹井さんが経営している会社は8期目で、10年以上残る4%に入れるかまだわからない。
ドゲンジャーズを4年間続けてきた人の演じるキャラクターが、「人のための楽しいを続ける事に必死になってた」と言っている。
中の人を意識せず、「楽しい」と叫びながらアクションするヤバイ仮面のガワだけを見ることは、どうやったってできない。
ただ全てを受け止めるキタキュウマンは、滝さん自身のかっこよさというより脚本家シャベリーマンの「キタキュウマンは俺のヒーロー」フィルタを通した一期キタキュウマンの色が強い気がするけど。
こうやって、いくつもの事実と虚構と空想が重なり合ったその先で繰り広げられるステージは、観客各々の目に飛び込んでくる時にはもう、それぞれ全然別の物になっているのではないかとすら思う。観客一人一人に、自分だけの事実と虚構と空想があるから。


少し前に読んだこの本の、第6回「着ぐるみ学入門」は、ふなっしーを例に挙げ、着ぐるみと中の人、そして観客との関係性について大変興味深い記述の連続だった。
ヒーロースーツと着ぐるみは似て非なるものではあるけれど、

どれくらい「中の人」を「透かす」かのチューニングをすることで、キャラクターの個性が生まれているのです。

この一文を読んだ時、私が真っ先に思い出したのはキタキュウマンだった。
「中の人」を「透かす」度合いは中の人が決められるけれど、透かされた部分を知った上でどのくらい「透かして見るか」は、観客が勝手に決めてしまうというか、どうやってもそうとしか見られない見方というのがそれぞれにある。
それを「解釈」としてしまうと、正解だ不正解だということになってしまわないか。現実と虚構の境が曖昧な対象を見る時、それが結構悩みどころだった。

わたしがふな菊祭で目の当たりにしたのは、この噓と本当、「ファンタジー」と「リアル」の両方が絶妙にせめぎ合うふなっしーの全てを、数百人のお客さんがあたたかく受けとめることで生まれる幸福な関係だったように思います。

「解釈」ではなく、「関係」なのではないか。ならば千差万別なのが当たり前で、その中で幸福なものを自分で選ぶこともできるんじゃないか。このテキストは、そいういう示唆を与えてくれた。

表に見えている姿はキャッチーで、その裏側には様々な議論を呼び得る要素がてんこ盛りです。つまり、何も考えずに見ても楽しめて、深読みしようとすればいくらでも可能という、普遍的で魅力的なエンターテインメントの一つなのだろうと思います。

自分にとって本当に楽しいこととは、という今回のショーは、結社の社長であるヤバちゃんだから意味がある。たとえ中の人が同じであろうと、部長のシャベリーマンでは成り立たない。
それを、実在の悪の秘密結社の代表取締役の笹井さんが中に入って演じている。知ってるこっちは、勝手に深読みしてしまう。
どこまでがヤバちゃんで、どこからが笹井さんなのかなんてわからない。でも、最近全くヤバちゃんに入ってなかった笹井さんが、このショーを演じている。現実の舞台で。その現実は会社を経営していく明日と地続きであり、このステージを経た次の日なのだ。
しかもその明日は、観客にも等しく訪れる同じ日である。私はこのことがもうずっと面白くってしかたない。

2部のトークショーで、恰幅のいい下唐湊さんと、イケメンオーラ全開の滝さんと並んで、笹井さんは脱いだガワの分よりさらに2回りくらい小さく見えた。
その姿を見て、一番最初に素面の笹井さんを見た時のことを思い出していた。ちなみに「えっこの学生演劇の主宰ですみたいな青年が悪の秘密結社率いてドゲンジャーズ作ってやくいく手帳のBtoB戦略立てて3,800万のクラファン成功させたの……!?」が私のファーストインプレッションである。ほんとにあの時と同じように思った。
あの最初のバスツアーの時、経営者と個人事業主という若い2人の芯の強さに圧倒されたのだけど、今回はそこに下唐湊さんもいて、なんか、つくづく、心配できることなんてなにもないんだなぁと思った。
雇われには想像もつかないような鉄火場にいる人たちのことを、それでも身近に感じてしまうからつい心配してしまったりするけど、心配の種すら、ほんとうはこちらには見えていないのだとしみじみわかった。
ただただ楽しめばいいのだなと思った。見てもいい部分を見せてもらっているのだから、それを見て楽しめばいい。どんなに深読みしたところで、それだって見えていい範囲で、彼らのチューニングしたラインを越えることはできないししたくない。
若く清しい経営者たちと個人事業主の姿を見て、なんだか帰り道すごくこざっぱりした気分だった。あの晴々とした気持ちは、あるあるCityから小倉駅までが陸橋で、地上より空に近かったからだけではきっとない。楽しめばいいんだ、それだけでいいんだ、それしかできないんだと思った。

なにもそんなに持ち込まなくていい砂場は砂で遊んでていい

平井弘『振りまはした花のやうに(併録『顔をあげる』『前線』) (短歌研究文庫)
「Peace」所収

でもその砂が、私にとって砂金であることは許して欲しい。