「明日、雪降りますかねぇ?」

明日は今年最初の月笑なんですが、今年からシステムが変わるそうで。
こちらが知っている限りの今までのルールは


・G1の組は無条件に来月出場(たぶんこれはそのまま)
・G2以下はネタ見せあり
・G1・G2合わせて3組に丸をつける
・G3は1分ネタで、その中1組に○をつける
・制限時間オーバーしたら投票対象外


でした。
かれこれ5年くらい見てますが、その間変わったと言えばG3の組数が少なくなったのとG1のネタ時間が短くなったことくらいで、まさかJrライブとの入れ替え制なんて事になると思わなかった。
勝手な憶測ですが、これは去年のぐりんぴーすとワールドヲーターの活躍が大きい……というか理由の殆どがそれなんじゃないかと思ってます。インスタントジョンソン360°モンキーズとトップリードとアルコ&ピース風藤松原ダーリンハニーと新宿カウボーイを抑えて若手が上位に入るのがどんだけ大変なことか。でもそれをやってのけたときにどんだけおもしろいか、どんだけ理屈を超えて盛り上がるのか、と言うのを、目の当たりにして初めてわかって、じゃあその機会を増やそうと言うことになったんじゃないかと思ってます。
月笑はほんとに層が厚すぎるので、これで若手を明治安田で見られる機会が増えるのはとても嬉しいし、今月初めて月笑に出る皆さんの喜びのツイートなんぞを拝見しているとほんとに良かったなぁと思います。
ただ、FKDクラスでもふつーにG2に落ちるのが月笑なので、風松がJrライブに行く可能性も全然ある=シアターD行かなきゃいけないかもしれないのがとてもつらい。あの居住性の悪い丸椅子。や、晴れ舞台となれば若手はふつうに友達呼ぶだろうから逆にベテラン不利じゃないかと思います。心から頑張って欲しいし今まであんま来られなかったベテランファンの方にはこれを機に是非来て頂きたい……。


それと、1分コーナーのG3がなくなったらこのみを見る機会が激減しそうでそれが今ちょっといちばん残念だったりします。まぁそれこそJrライブに行けば良いんですが。
このみは太田プロ所属の女性コンビで、月笑に行き始めた頃からちょいちょい見ているのですが、しょーじきなところ印象に残るネタはありませんでした。いっとき広島弁で漫才をやってたのは覚えてるんですが。もてるとかもてないとか、彼氏できるとかできないとか、まぁそういうネタだったと思う、たぶん。それくらいぼんやりした印象でした。
去年の月笑でやった、派遣OLがただただ話すと言うネタに目を見張りました。ちょっとこれはすごい発明なんじゃないのか。衝撃の種類で言ったら、阿佐ヶ谷姉妹の「阿佐ヶ谷二人暮らし日記」と同じ衝撃でした。
その翌月だったか、エイトライブでも同じ種類のネタを2本やっていて、それは月笑でやっていたのに比べたらだいぶん完成度が低かったのですが、そのネタの芯のようなものは一緒で、見ていて泣きそうになりました。たぶんこれは今一番大事なことをやっている、今一番いとおしいものが結晶みたいな純度で披露されている。


ふたりの派遣OLは、洗面所とか、開く前の社食の前で、ただただ無駄話をします。それは絶対に喋らなくても良いほんとにどーでも良いことで、でもそれを本当に楽しそうににこにこと喋る。「リョーコ先輩」の真似をして笑うのも、嫌な先輩を揶揄しているのではなくただごくごく狭い範囲の「お約束」を確かめ合って笑うだけ。
お笑いのネタとして考えたら、「一歩外に出たら全くおもしろくもなんともない会話をおもしろそうに喋るひとを客観的に見るおかしさ」みたいなものを狙ったのかも知れません。
でも、このみのネタにはそのななめからの目線が全く感じられず、ただただ、楽しそうに中身の無い会話だけが繰り広げられます。なんの悪意も批評性も客観性もないがゆえに、「会話」というものがむきだしであらわれ、じゃあなんでその必要性のない「会話」がなされるのかと考えたとき、そこには「人がふたりいるからコミュニケーションをとっている」と言うごくシンプルな理由だけが思い当たるのです。


ふたりのバックグラウンドが詳しく語られることはありませんが、例えば全然別の派遣会社からたまたまその会社に派遣されたOLと想像します。契約によっては、明日にも会わなくなるかも知れないふたりは、LINEくらいは知っていて、会社帰りにご飯くらいは行くかも知れないけど、「たまたま趣味がすごく一致した」とか、「たまたま昔同じ高校に通ってた」とか言う運命的な引き合わせは一切なく、単にお互い同じ職場で気持ちよくつきあえている派遣同士というだけの、薄いと言えばこれ以上なく薄い、しかし毎日仕事をする上で、これ以上ない関係を築けている間柄に見えるのです。


先週の「ミレニアムズ」に柳原可奈子嬢が出ているのを見ました。ななめの目線に疲れたという柳原嬢に、若林氏は今ななめを超えてベタを満喫していて、まだななめの所にいる山里さんに「まだそこなんだ」と思ったと言います。
あ、テレビでこれを言ってくれる人が出てきたんだと嬉しくなりました。ちょっと前に「どぅんつくぱ」で大学生とか、イライラすることに対する歌をやっていて、これもういいよと思ったんでした。その大学生が自分に迷惑をかけたならそのことを怒ればいいし、報復が怖いならそこから逃げればいいし、直接被害を被ってないなら黙ってればいい。その人に面と向かって口に出して言えないことを、批評面でひとりごちるなんていちばんだせぇ。
今やってるRenta!のCMにも似たようなことを思いました。あれは壁ドンしてくる男性より、嫌々だろうと飲みに行ったならそこで漫画読んでる女性の方がよっぽどおかしい。あの男性よりも自分の世界を持ってる女性の方が高尚だなんてのはあんまりにも前時代的です。


自分一人が一日を機嫌良く終えるだけでもたいへんなことで、それに加えて他人の不機嫌まで引き受けてたら身が保たない。ななめの目線で人を選り分けるよりも、強制的に顔を合わせる同僚と気持ちよく世間話でもしてなんとか一日を無事に終わらせたい。これは最近の私がひたすら思っていることです。年とったね!


仕事さえしていればいいと思えば、特に好きでもない職場の人と口をきかないでも済む日もあるかも知れない。今までは、そこを省エネにする方がかっこいいと思われていたような気がします。でも、わずかな会話を惜しんで殺伐と過ごすより、にこやかにあってもなくても良い会話をしたほうが楽しい。それを、このみはキャラキャラと笑いながら見せてくれる。「すっごく楽しそう」。肝心なこととか、芯喰ったこととかは、その後で良いんだと思える。それに泣きそうになるのです。