電信柱が恋をした

映画「電信柱エレミの恋」
東京都写真美術館HP内 上映スケジュール等


3人のANATAKIKOUの最後のライブを見に行ったときだから7月1日、COCON KARASUMAshin-biでこの映画にまつわる展示をしていた。
その時「秋に写真美術館でも上映」と書かれていたので待っていた。結局公開終了間際の今日になってしまったけど。


故障した電信柱のエレミが不安な夢から目覚めると、目の前に電力会社の青年タカハシがいた。タカハシに恋をしたエレミは自分が電信柱であることを隠してタカハシに電話をしてとても仲良くなるが、それが仲間の知る所になり……という物語。


全編ストップモーションアニメによる46分の大作で、少し昔の時代設定と、町並みと、人形のすべてがあたたかい映像だった。
でも、暗示的な最初の夢や、仲間の噂のイメージの部分は、しっかりと怖く不気味に描かれていた。人形劇にしろ、クレイアニメにしろ、立体の映像はどこかしら不気味で残酷な面があると感じるので(それはほのぼのした場面においてもたまに)、その塩梅に感じ入った。


ラストシーンは泣きっぱなしで、監督と音楽担当のtico moonのおふたりが登壇されてもまだ泣きそうで、最初はなかなかお話に集中できなかった。
完成の2年以上前にたまたま雑貨店でtico moonの音楽を聴いて惚れ込んで、完成半年前に依頼した話、初めて会ったときに監督が(撮った映像を持っていたにもかかわらず)おふたりの前でひとりで全編を熱演して熱意を伝えた話などのあとに、tico moonによる劇中曲2曲の演奏。2曲目で映画のラストを思い出してまた泣いた。



以下、物語の結末に触れるので隠します。


タイトルの通り、エレミの恋が始まって、終わるまでの映画。エレミの恋は終わってしまった。どうしても。
エレミが恋を諦めてかわいそうだ、と思った。
タカハシが来てくれて良かった、と思った。
でもエレミの恋は終わってしまった。
でも、最後にタカハシは来てくれた。
ラストシーンからエンドロールが終わるまでずっと、このループを繰り返しながら泣いていた。哀しいのと、嬉しいの、どっちが先に立つこともなかった。