風藤松原の前説

〜K-PRO10周年一週間ぶっ通し興行一日目〜
『トッパレスペシャル―トッパレ×トッパレA―』


5/21 しもきた空間リバティ 19:00



K-PROさんの一週間興行初日。18:50までに来て頂くと楽しいかもと言うアナウンスがあったので、過去映像でも流すのかな?と楽しみに行ったら、果たして、ステージに映像が映され、「SP前説 風藤松原」の文字が現れた。
えええーーーっと言う歓声に迎えられた風藤松原は営業でつかみに使うお互いの紹介をしてから、滅多にやらないという前説をやった。
風藤さんが声出しをしましょうかと言って、「笑って」「いいともー」とか「あっこに」「おまかせー」とかの定番を客席とやり合う間に、松原さんがオリジナリティ溢れる言葉を差し挟むもんだからおもしろくって仕方なかったんだけどよく覚えていなくて残念。上の句と下の句ならそれは松原さんお手の物だよなぁと思ったのは覚えている。


何度目かのやりとりで「13日の?」と呼びかけられたので「金曜日ー」と返したら、松原さんが「13日の金曜日は?」と言った。あれ、これ言っても良いのかなと思いつつ、風松のネタの松原さんのフレーズを返したら、風藤さんも松原さんも「知ってくれてるんだ!」とこっちが驚くぐらい喜んだ。いやそりゃ知ってるよ!と思ったけど、おふたりともえらい新鮮に喜んでいるので、あれっと思った。松原さんは両手で口を押さえて照れていた。
ちょっと長い逡巡があって、松原さんが「三人寄れば?」と言ったので客席はもちろん返した。ふたりともまたすごく喜んで、風藤さんは満面の笑顔で客席に腕を伸ばして「「風藤松原たち」で営業回りたい!」、松原さんに到っては両手で顔を覆ってしまって本気で照れていた。


風藤さんが「もっとやりたいけど注意事項を言わなきゃ」と言って注意事項をアナウンスし始めたのでやりとりはそこまでだったけど、おふたりはすっかりご機嫌で、撮影にも結婚会見風やらハートのポーズやらで応えて最後まで楽しそうだった。


私は風藤松原の出るライブを選んで行っているので、サンプルにならない自覚はあるんだけど、習慣的に都内のお笑いライブに足を運んでいる人が風松のことわざのフレーズをある程度知っていると言うのは、予想できることだろう。
それが、寄りによってご本人には、全然予想できてなかった。本気でびっくりして、本気で照れて、本気で喜んでいた。「三人寄れば?」なんて一番代表的なフレーズで、全国ネットでも言ったのに。たぶん「二階から?」でも「二足のわらじを?」でも言えたよ!


あのとき下の句を返した観客は、確実に風松が思う「この人たちは自分たちのことをこれくらい好きだろう」という予測を超えた。それをご本人たちに提示できる機会って、ライブに行っていても実はほとんどない。私が単独ライブを好きなのは、ただそこに行くだけで「あなたたちだけを見に来ました、あなたたちが大好きです」という意思表示が出来るからだ。
FKD世代の芸人さんはご苦労が長いせいかあまり告知も積極的でないし、自分たちの仕事を余さず見たいファンがいると言うことがあんまりわかってないと感じることが多々ある。そんな人たちに、複数人でもって「あなたたちが思うより私はあなたたちのことが好きです」と示すことが出来たのは、これもうすごい、すごいことだなぁって、ライブが始まる前から、喉の奥がつかえるような甘やかな苦しさが胸を満たしていた。


ジャニオタをやっていたときに「ファンの総意なんてものはない」と知ったので、「みんな」と言う言葉を使うわけには行かないんだけど、でも、この一週間は、いつもとは違うことをいつもは届かない人に届けられるのかも知れないと思った。


お笑いナタリー|トップリ1位、K-PRO10周年初日はお見合いトマトで喝采