時をかけるドゲンジャーズ

ドゲンジャーズコンベンション in 芦屋
「時をかけるドゲンジャーズ」
3/12 11:00 15:00
3/13 11:00 15:00
あしや夢リアホール

ストーリーについてのネタバレは後半にまとめます。前半は致命的なネタバレはしていませんが、円盤まで一切の予備知識を入れたくない人は読まないでください。


芦屋やっと行けたー。楽しかったー。
前回の夏は行けなかったんですが、こないだはスーパーライブという名前でしたっけ。今後は「ドゲンジャーズコンベンション」という名前でやるそうで、戦隊のファイナルライブツアーみたいな感じでドゲンジャーズはコンベンションだとシャベリーマンさんが言ってました。個人的に業務上の頻出ワードなのですごい仕事感が出ます。遠征なのに出張みたい……。でもその企業感が好きではまった悪の秘密結社にぴったりだわ。
夢リアホールは綺麗で、女子トイレの個室がめちゃくちゃ多いし(すごく大事)、いつか一個飛ばしでない座席で、このホールの三階席まで満員にしてドゲコンができたらいいねと思いました。コンベンションなのだから、関連企業のブースが出たりしてさ。たくさんの人を動員できるお祭りみたいになったらきっと楽しい。強い希望としてはピザクックさんにピザ売って欲しい。
でも今ならではの楽しさもあって、物販にダンゴムシマンさんがいたりいなかったり、明らかに聞いたことある声を発する人間のお兄さんがいたり、レジの方やキッチンカーの方が、商品のやり取りだけでない会話をしてくれたり。その他にも観客同士もお互いに気遣いあって楽しみあう、おそらくは今の規模だからこその居心地の良さを体験できて嬉しかったです。

照明と音楽と特効がついたドゲンジャーズのショーを見るのは初めてでしたが、テレビの「ドゲンジャーズ」そのまんまの彼らがいる!というのが一番の感想でした。ドゲンジャーズの面々の場合、ショーやってても「実在の彼らがヒーローショーを演じている」というレイヤーがあるからさ。テレビの彼らがテレビの続きのようなストーリーの中にいて、ガワも声も本物なんだもんなぁ……としみじみ贅沢なことだなと思いました。
ストーリーとは関係ないのだけど、千秋楽の最後、カーテンコールの後だったかな、舞台奥上手側のCO2噴射する機械が壊れたのか何なのか、尋常じゃない量吹き出して最前列は寒かったくらいなのですが、それを見たヤマシロンが「はわわ〜」って感じで寄っていって(喋ったわけじゃないけど絶対そう言ってた私には聞こえた)、どうしたんだろうって覗き込んだあとフクオカリバーさんに大変ですよって報告して、二人で何度も見に行ってるのがもう、いる、そこにフクヤマバディがいる……! 物語が終わってもそこにほんとに実在するんだ……!って強烈に実感しました。 あとカーテンコール後の幕が閉まるのを必死に止めようとするルーキーくん見たときも。

千秋楽のスタオベの後、シャベちゃんが私前回で学びましたよ、立つやつですね!って言いながら出てきてくれて、その後ヒーローたちの客席登場があったんですが、なんかもう多幸感すごすぎて若干記憶が曖昧になるくらい楽しかった。二階と三階にも出てきてくれていた。私は一階で50センチの距離にルーキーがいたりして余裕が全くなかったので上階に誰がいたのかはさっぱりわからないんですが。
終わった後興奮しすぎで隣の席の知らない人と「かわいかったですねぇぇぇ!」って言い合っちゃうくらい最高だったんですが、なんか、触れ合い(触ってないけど)の強烈さに、これがあるとなしならショーの作り方も変わってくるのでは……みたいなことも思いました。いやグリがあるショーなら適当でいいとかそんなんじゃなくて、地元で同じ地域に暮らして実際会って触れ合って写真撮ってが可能だった彼らにとって、それこそ私みたいな福岡に縁もゆかりもない会ったことも会うすべもない遠く離れた人間に、キャラクターと作品だけがぽんと届けられるって、すごい丸腰の戦いに近かったのでは……とドゲンジャーズ始まって2年も経ってるのに思いました。

いきものがかりは通ってないのだけど、「作品」というものを考えるときにいつも思い出すのがこれで、2020年からはコロナでほぼ全ての人が「ライブ行けない人」になってしまうからだいぶ状況が違う中でのツイートなんだけど。
ドゲンジャーズという作品が、福岡の実在のヒーローと悪者を抱えて時間と空間を超えてくれたから、私は出会うことができたけど、多分その過程で置いてこざるを得なかったものもあって、福岡に行けるようになった私が、今度はそれを見つけに行けるのだと思う。
でも福岡のスポンサーのあまりのノリの良さにこれは博多の町人文化を理解しないとついていけないのではと、福岡市と博多市で名前争ったときの資料探したりしてるのは回り道がすぎる気もする。今回は博多町屋ふるさと館に行きました。




以下、全編に渡ってネタバレしています。円盤まで知りたくない人は読まないでください。













今回のあらすじ
いつものように大敗を喫した悪の秘密結社は、戦力増強のために新入社員を募集する。そこに応募してきたニートの「じっくん」は、なんとタイムトラベル能力を持っていた。その力で一期の世界に行き金印の力を、二期の世界に行きアフェクトシステムの力を手に入れたヤバイ仮面は、ヒーローたちとの最終決戦に挑む!

思ったままに書いたら悪の秘密結社視点になってしまった。でも仕方ないと思うの。今回の悪の秘密結社魅力的すぎだろう! これ読む人はもう見た人だけだと思うからなんの解説もせず書くけど、ヤバイ仮面社長大好きー!
なによりも、旧ヤバちゃんに会えたー! 脚本の表記だと肩に筍がついてる旧ヤバちゃんがヤバイ仮面マーク3、現行の新ヤバちゃんがヤバイ仮面マーク4だそうなので以下そのように書きますが、マーク3社長会いたかった会いたかった会いたかったー! やっぱり可愛いよー!
マーク4社長はセクシーでかっこいいし、なによりあの人もヤバちゃんだという認識にブレが起きないのは見事だし大好きなんだけど、マーク3ヤバちゃんの可愛さは忘れられなかった。でも、マーク4社長にケチつけてるように見えたらやだなと見えるところでは言わないようにしてたんですが、マーク3ヤバちゃんが出て来た瞬間「会いたいと思っててよかったんだ」ってそれがすごく嬉しかった。
いやまぁ思ったこと言ってもいいとは思うんだけど、結社のキャラクターって実在の方の結社の設備投資じゃん。企業の方針なんて年単位で先見据えて決められるわけで、消費者が見えてるものだけを材料に言ってもしょうがない文句つけてるみたいに見えたらやだなぁと……単純に自分の仕事に対してそれやられたらすっごいやだってだけなんですけど。
旧メイド執事さんと旧ネクタリスさんもそうで、私は旧メイドさんに会ったことがなかったので、もう会えないんだろうなぁ一度お会いしたかった……と思ってはいても言うのは控えてたんですが、会えたわ。難しく考えることなかったわ。
どのキャラクターもどこかにはいて、会いたいと思って、好きでいていいんだと思えたのが嬉しかった。

そんな昔の彼らに会えたのも、アフェクトシステム搭載のグレイトZ様に会えたのも、一期と二期の世界をタイムトラベルするという物語のおかげな訳で、これすごいうまいなー!と。夏の舞台は脚本しか読んでないんですが、あれは一期の続編というか総括的な物語で、今回は一期と二期まとめて総括だけど物語としては二期の続きっぽい感じだった。なのでグレイト2くんに焦点が合う。
まだダークサイド気味のグレイトZ様とヤバちゃんが並び立つの、めっちゃめちゃかっこよかった。やっぱり悪くて強いは最強にかっこいい。でもグレイトシリーズのことだけ考えてるのは全く変わらないZ様。歌舞伎の暫がモチーフと知って、より威風堂々と見えるようになった。しかしそれを上回って純粋に悪い社長がもうたまんなかったー。
本編を伏線のようにして次の物語を紡ぐ手法が見事で、さすが笹井さんだわと脚本見たら別の人の手になるものでそれが一番驚いたかもしれない。初見時絶対笹井さんだと思った。なぜならキタキュウマンがめちゃくちゃかっこいいから。
えっ笹井さんの「キタキュウマンは俺のヒーロー」フィルタ*1を通さなくてもドゲンジャーズの兄さんてあんなにかっこいいの……? あの人デフォルトでどんだけいい男なの……?ってほんとに驚いた。だって2くんの悩み相談乗ってあげて助太刀して戦って戦うんだよ⁉︎
監修はもちろん笹井さんだけど、監修だけではあそこまでかっこよくならないよな……すげーな兄さん……。

テレ朝のニチアサを見てると絶え間ないおもちゃの販売計画の合間を縫って物語を進められるのすごいなっていつも思うのだけど、ドゲンジャーズは見てる限りはびっくりするほど縛りがない。そんなドゲンジャーズがショーになると、ピンチからの声援復活というお約束を全うするのが楽しい。これは縛りではなく花道だと思う。
お約束の拍手を送りながら、これだってテレビではできないのだから、彼らは一番の武器がない状態で戦ってるんだよなぁと思った。はやくお子さんが力一杯声援を送れるようになればいいなとほんとに思う。彼らにその声を聞いて欲しい。
テレビそのままの彼らを、テレビではもう見られないかもしれない彼らを、ショーならではの物語と演出で見られた。足を運ぶ甲斐ってのはこういうことだなと思った。

キャラクター的にもストーリー的にも胸熱なところがいくつもあるんだけど、感動とか喝采とか以外で客席の心がひとつになるという稀有な体験をしたのが最も特筆すべきことかもしれない。あの衝撃の登場シーン、客席にいた大人はきっと全員同じことを思った。

「いくら金遣ったんだ」

いや社長は忙しいからマーク4社長も2、3人いるのかなとは思ってた。そのくらいは想像していた。
まさか、三期前にまるっと新しい社長が出てくるなんて誰が思うよ⁉︎ ほんと絶句したよ! びっくりしすぎてペンライト買い足したよ! そのくらいしかできないから!
モフモフがついた新しいヤバちゃんはビーストモードというそうです。いやもう。
あまりの金のかかりっぷりに呆然としてたんですが、そのビーストモードに向かって「なんだその悪趣味なヤバイ仮面は」って言うのがキタキュウマンだったのがすごい良かった。ヤバちゃんの姿は変わっていくものでそれに全部付き合ってるものねキタキュウマン……。

そんなキタキュウマンに見守られながら2くんが、文句を言ってくる奴が納得するまでやり続ける、と吠えるシーン、その「文句を言ってくる奴」に「過去の自分」が含まれているところ、あれは結社の決意表明なのかなと思った。
キタキュウマンには隠しているとはいえ、グレイトZが「過去の自分」でないことは2くんには身にしみてわかってて、あえてその台詞をいうのは。
ドゲンジャーズはこれからも続いて行って、おそらくだけど三期は人間がたくさん出るしこれまでと違うことも多いんじゃないかと思う。続いていけば変わっていくこともあって、ときには過去の自分たちと矛盾することもあるかもしれない。
でも行くしかないのだと。止まったら後退どころか倒れるのだと、前に進むしかないという決意はすごく……伝わってきたビーストモードで……。パワーアップの時の声が「シャッキーン!」なことに改めて頭抱えたよね。ビーストモード三期に使ってるよね使ってると言って。

福岡から帰るときはいつもT字路sの「最後の手紙」を聴いていて、「このままここに/いられたらいいのだけれど/ゆかねばならぬ/どうしてもゆかねばならぬ」という歌詞を聴きながら帰りたくねぇなぁと思っているのだけど、結社のようだとも思う。結社の「YABAI!」にも、「本当は本当はずっとこうしてここでおめぇらたちと遊びたい」という歌詞があると気づいた。
今のままで楽しくいられたらいいけど、それでは続けられないのだと、明日では遅いのだと。

*1:念のために言っておきますが笹井さんがこんなことを言ったわけではなく、一期を見た私がそういうのがあるだろうと思っているフィルタです