君の駅

6/27から7/1にかけて、「烈車戦隊トッキュウジャー」を見ました。
なんていうかもうなにから伝えればいいのかわからないほんとうにわからないんだけど、まず一言言うとしたら、びっくりした。

こんなにものすごい物語が、地上波の、全国ネットで、毎週毎週、丸一年間放送されていたのに、ここまでまっっっっったく知らないでいられたことにもう心底びっくりした!

いやシンケンジャーのときもそうでしたけど、でもシンケンジャーはまだ「あれはすごい」ってのをチラホラ聞いたことがあったんですよ門外漢なりに。でもトッキュウジャーはマジでほんとに知らなかった。見たきっかけがツイッターで出演者再集合の写真がバズってたからですもんなにしろ。あ、そういやこれも小林靖子さんなんだよね人気あるんだなぁでも私今オーズ見てるからねと何の気なしにTTFCで1話再生したらまさかそこから5日間ノンストップになるなんて誰が思ったよ!(土曜出社してるから実質4日だけど)
月曜に夏映画の「烈車戦隊トッキュウジャー THE MOVIE ギャラクシーラインSOS」含めて本編見終わって、日曜のうちに注文しといた『烈車戦隊トッキュウジャー公式完全読本TOQGER ETERNAL MEMORIES』読んで、今朝「烈車戦隊トッキュウジャーVS仮面ライダー鎧武 春休み合体スペシャル」見て今テレビマガジンの付録だったDVDを中古で買って届くの待ってますよ! まだVシネマとFLTと劇場版がいくつか残ってるぜやったー!
いやもうほんと一生涯これを知らずにいた可能性もあるかと思うとぞっとする。世の中まだまだいろんな面白いものがあるとわかってはいたつもりだったけど、まさか、まさかこんなリーチしやすいところにこんなものすごいものがあったなんて……。
あの私この後すごいとかやばいとかしか言わないわりにネタバレはするんで、まだ見たことない人がいたら今すぐこの画面閉じて12日を待ってください。12日からアマプラに入るんです! 何も知らずwikiも見ずどうか1話だけ見て! 1話見たらもう止まれないから! ゴーバスターズも入りますよろしくお願いしまーーーーす!
以下「侍戦隊シンケンジャー」と「特命戦隊ゴーバスターズ」と「烈車戦隊トッキュウジャー」のネタバレがあります。

 

ねーほんと何から話しましょうね。今私ほんとなにもまとまってないけど「トッキュウジャーについて吐き出さないと口からなんか出そう」っていう衝動だけでキーボード打ってますからね。
とにかくまず1話見て、敵がすげーかっこいい!って思ったのが最初のフックだったんだよな。幹部連がダークで優美で超かっこいいの。思えばGロッソでみた戦闘員の中で一番かっこいいと思ったのが、このトッキュウジャーのクローズだった。公式読本でクリーチャーデザインのところ読んだらあえて「ありふれたイメージ」に真っ向から取り組んだというような説明があって、ほんとペストマスクとかすごくわかりやすくてかっこよさのど真ん中。私はスチームパンク良く知らないんだけど、たぶんそういうかっこよさ。ちなみに私が一番好きな怪人はタイプシャドーです! タイプライターの怪人ってだけでも最高なのに、能力も演出もさらに最高。小林靖子先生、ほんとにドラマがお好きなんだな……。
1話の怪人バッグシャドーの造詣からもう素晴らしくて、あのがま口のとめるとこの玉つかって双頭にするとかやべぇ……!って思ってたらベテラン枠の味方が関根勤さん! 関根さんスーパー戦隊出てたのか! コメディ俳優としての関根さん見られるなんてラッキー……からの1話の引きで度肝抜かれてそこからもう後戻りできなかったんだよな確か……(一週間ですでに遠い記憶)。

しかしまさかここから最終回まで、毎回予告でぎゃあああって言うとは思わなかった。

トッキュウジャーの予告やばくないですか。毎回映画館で見る予告かってくらい高めてくるじゃないですか。リアタイ勢よく一週間待てたね! 追加戦士が来る第17駅「雨上がりの空に」の予告なんて、見た後一回止めたもんあまりにおもしろそうすぎて。そして本編でも一回止めた。追加戦士が元シャドウの保線作業員てよくそんな最高を上回る設定考えつくな!? この追加戦士がまた二の線か三の線か絶妙にわからないいいキャラクターで、私はうっかりプレミアムバンダイで虹野明で検索してベルト(32,400円)をまじまじ眺めましたね。ネジのネックレス売ってたらやばかったな。
明の設定を一見したらまぁ「元シャドウ」ってことはこの後の物語に深く関わるんだろうなってなにも考えなくてもわかるけど、まさか明が体の大きな大人であることも、かたくなに仲間を「トッキュウジャー」って呼ぶことも、そもそも保線作業員であることまで全部効いてくるとか誰がわかるよ! 明がらみのエピソードに限らず、見てる間中「そうきたか!」と「それでかー!」の連続で、意表を付かれる驚きと、伏線回収の爽快さでパンチドランカー状態。ノンストップといいつつ途中休憩挟まないと見続けられないんですよごっそり体力もってかれて。
ちなみに私見てる間3回リアルに叫びました。第22駅「女帝誕生」と第32駅「決意」と第44駅「昴ケ浜へ」。シンケンジャーの第44幕のあれが3回来た。もうぐったり。ぐったりですよ(しかし止まらない)。
「夫人てことは結婚してるってこと?」なんて台詞であとから「ああああああー!」ってなる? 主人公たちが子どもっぽいわりにあんま成長を描かないのなー、敵組織で忙しいのかなーとか思ってたら成長そのものがネックだったなんてことある? 回想シーンと矛盾しない?などと思ってたことに至っては土下座するしかない……!

とはいえ裏切りがこの物語の醍醐味ではなくて、それ言ったら伏線回収もそうじゃない。
とにかくなによりも物語がでっかくて確かで、裏切りも伏線もその物語の中で物語に必要な物として存在してるからいちいち感動してしまう。
ああでもこういう言い方もこの作品のよさをとりこぼすな。私は「乗り換え」の効果がいまひとつわからなくて(スーツ5色×5人作ったの!?って方が気になって仕方なかった)、あとで公式読本読んだらあれは「勢い」とのことで、あ、やっぱり効果とかあんま考えなくて良かったんだーとは思ったものの、でも最終回で「こういうことかー!」ってなったのも事実で、でもたぶんあれは後付けで。
めまぐるしく入れ替わる立ち回りの楽しさも、最終回で高まったのも、どっちもこの作品の輝く要素で、どっちが先かとか大事かとかそういう話じゃない。
多分に色々な要素が関わるキャラクター商戦、現場には様々な都合や変更もありましょう。スーパー戦隊は何より役者がどんどん変わるし。それでも停まるわけには行かない1年かけた大プロジェクトにあって、あらかじめ決められたものだけにしびれるかといえばそうじゃない。決まっていたことの華麗さもあとから決まったことの荒々しさも、全部全部全部が束になって奔流のように押し寄せて、もみくちゃになって私は今、全部わかった上でもう一度なーんにも考えずに見てみたいと思う。初見であるがゆえにあれはこうなのかなああなのかなと浅はかな予想をしながら見たのとはぜんぜん別の体験を、この物語への信頼に身を任せてもう一度彼らの旅を見守りたい。

なにより初見は敵組織のシャドーラインに過剰に思い入れてしまった自覚があるんだよなー。かっこいいのももちろんだけど、シャドーライン全員キャラ立ちすぎでしょう。ライトたちには目的があって、シャドーラインには信念がある。おもしろいのがこの信念が見事に全員バラバラで、ゼットはキラキラを求めてやまないし、ノア夫人はグリッタを嫁がせることしか考えてないし、グリッタはシュバルツ将軍大好きだし、シュバルツ将軍は闇より列車だし、ネロ男爵は忠義者だし、よくこれで組織としてまとまってるな。思ってたのと一番違ってたのはグリッタで、最初「ノア夫人がいるから女幹部はノア夫人だよなー。幹部じゃないのに声が日髙のり子さんって超豪華!」とかほんとになにもわかってなかったわ。私は女性キャラクターが成長して聖母的な役割を当てはめられるのはイラっとしてしまうのだけどグリッタは最初から最後まで慈悲と慈愛の存在だった。ただ少女から大人の女になっただけで、選ぶものが恋から愛に変わっただけで、彼女の本質はずっと変わらなかった。キラキラだった。
シャドーラインの面々のドラマがあまりに濃くて、これは公式読本買ったらさぞ敵方への思い入れが語られているに違いないと意気込んで脚本家とプロデューサーの対談読んだらめっちゃあっさりしか触れられなくて驚いた。いや私ならこんなすげードラマ作り上げたら一生ドヤ顔するわ。小林靖子先生すげーわ。

ライトたちに関しては不思議なもので、私なぜか「ひょっこりひょうたん島」を思い出したんですよね。自分でもなんで思い出したのかわからなくて、まぁ理由の八割は第1駅の引きと第3駅のチェーンシャドーの歌ってた歌が海賊キッドの宝の歌と感じが似てたからだと思うんですけど(あれ怖すぎない!?)
これは孫引きの上に原典に当たることもしなかったし読んだ本ももう手元にないのだけど、ひょうたん島の登場人物に関して、井上ひさしさんは彼らを「もう死んでしまった子どもたち」だとしていたと、読んだことがあった。
でも小学生のときにひょうたん島にだだはまりした私はハカセたちのことを本当の友達のように思っていたので、とてもじゃないけれどこれが事実だとしても受け入れられなかった。作者がどんなつもりで書こうと彼らは私の友達だから確かに生きているとずっと思っていた。なのでわざと不確かなままほっておいた。
そんな受け入れがたいけれど頭にこびりついて離れなかったあの説と、第32駅が結びついて「それでかー!」ってものすごく腑に落ちてしまった。これは伏線とかでなく単に私の中で全然別の物語がつながったってだけなんだけど。
ひょうたん島の人々はぜんぜん帰ろうとしない。ライトたちはずっと帰ろうとしている。そこは決定的に違う。でも、あくまで移動手段であるはずの電車を根城にしてずっと旅をするその寄る辺なさと、それでもどこまでも旅の楽しさを描いてOP曲もとことん明るいトッキュウジャーゆえに、ひょうたん島で強烈に惹かれたあのからっとした寂しさに似たものを感じたのかもしれない。まぁこれはほんとに私の中だけの話で、整理がつかなくても全然いい話なんですが。どっちの物語も頭の中の本棚の一番いい棚にしまったというだけのこと。

ところで小林靖子先生は、「肉体的に不可分なもの」に萌えがあるんでしょうか。いや自分の知ってる乏しいサンプルから類型化しようとするのは知識が浅薄な人間のやりたがることだとわかってはいるんですが。薄皮太夫の最期、ゴーバスターズのヒロムとバックアップ、そして第44駅からのライト。オーズまだ見てる途中なんですけど、アンクもそうなのかな。

まだ通しで見た戦隊は全然少ないのだけど、どの戦隊も彼らがこの先どうするんだろうというのは気になってしまう。トッキュウジャーは彼らの本質ゆえに、ほんとうにもういない。でも、絶対にまた会えることが約束されてもいる。そんな特異なヒーローだった。
わかんないですけどね、Vシネマ見たらその先が描かれてそうな感じはするんですけど、それ見たらほんとに終わっちゃいそうでまだ見ていない……ていうか最終回後の泣きの涙のテンションで「帰ってきた」見ると温度差で風邪ひくってちょっとわかってきたんでもうちょい後にしたい。ええ第45駅「君が去ったホーム」から泣きっぱなしでしたね。

どんなに書いたところで見ながら感じたことの一割も書けないな。個々のキャラクターについてなんてとても書ききれないから書かなかった。ゼットだけで論文書けるでしょ!
ただただもうこの素晴らしい物語に出会えてよかった。見られる映像見尽くすまでもう少しトッキュウジャーの世界にいます。
そしてやっぱり小林靖子先生脚本のスーパー戦隊をリアタイしたいという気持ちを新たにした! 来年書いてー! 毎週毎週一週間を待ち遠しくハラハラしながらおもちゃとふりかけとソーセージのCMとスーパーヒーロータイムアイキャッチとともに一年間視聴したい! イマジネーションは完璧だぜよろしくお願いします!