8/1〜8/7

8月1日土曜日。起きて先ずしたことは、洗濯機から洗濯物を取り出して干すことだった。糊づけしたワンピースだけ外に干しておいたら出かけるまでにだいたい乾いた。散髪をしに千葉に帰る。美容師さんが、来たら見せようと思って取っておきましたとpenの漫画特集を出してきてくれる。久しぶりにセシルカットにする。地元の本屋の売り上げ1位が『第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)』で驚愕する。2位が『火花』で、売り切れていた。1位にびっくりだ。『火花』を買えなかった人、若しくは又吉著作読んでみたいけど文庫なら手軽で良いじゃんと思った人が買ったんだろうか。良いエッセイで私も好きだけど、この千葉の片田舎であれが1位になるとはほんとうに驚いた。
昼ごはんにはウニパスタを作った。ここぞとばかりに高級食材を使う。両親がケーキを買っておいてくれる。姉が来た時もいつもケーキを買う。うちはおもてなし=食べることだ。夜ごはんにはお好み焼きをリクエストした。一人暮らしして一番の誤算はお好み焼きが食べられないということだった。鉄板もないしあのヘラもない。なにより一人分作ると言うのは不可能だった。一人分の生地が作れない。ソウルフードだと言うのに。
私が使っていたベッドを捨てるために解体したら、下から1985〜1987年の花とゆめが出てきたそうで、元私の部屋に積み上げてあった。処分するにしてもこれを灰にするわけにはいかないので引き取り先を探さなければならない。でもまず読んでしまう。だって「ガラスの仮面」が「忘れられた荒野」からの「紅天女」の地水火風で、河原泉が「美貌の果実」シリーズからの「笑う大天使」で、「赤い牙ブルー・ソネット」がクライマックスですよ。「ここはグリーン・ウッド」って最初は短期集中連載(全3回)だったのかー。「雑居時代」も載っていた。最後らへんで「ぼくの地球を守って」も始まっていた。そして全部を通してパタリロが脂の乗った時期で素晴らしい。デュモン! 氷のミハイル! 呪われたトランプ! カボチャ大王! 激熱すぎる。読みふけって寝たのは3時だった。


2日日曜日。冷凍のイチジクジャムと、焼き肉用の肉100g、豚バラ100g、キャベツ半分、トマト2コ、ししとう半袋、青汁一箱、カンターチ1本をもらって帰る。薬局で在庫を取り寄せてもらってまで買ったカンターチは母が持っていた方がいいと思うのだが持たされた。スーパーが開く時間に間に合うように送ってもらったと言うのに、夜更かしがたたって調子が悪い。11時半くらいまでだらだらして、炎天下買い物に行く羽目になる。肉も魚も買っていないのに3,000円以上になる。なぜだ。豆かんとあんこと焼き肉のたれとバターのせいだろうか。タルタルソースを買い忘れてもう一度行く。
昼ごはんにそうめんをゆでたら、水道水がぬるすぎて流水では全然冷えなかった。夜中に氷の落ちる音で目が覚めたりするので製氷を止めていたのだけど再開する。お弁当のおかずと夕飯を作る。きょうの料理に載っていた小麦粉の広告のレシピ「ナスと豚バラとトマトの辛味噌炒め」がおいしかった。私は企業のレシピを大変に信用している。キッコーマンとか。自分とこのを買ってもらわなきゃいけないから、絶対おいしいはずだもの。逆にクックパッドを毛ほども信じていなくてレシピ検索のときはいつも「-クックパッド」とつける。夕飯は件のメカジキをフライにした。


3日月曜日。朝食に、もう一切れのメカジキのフライをホットサンドにする。朝から食べ過ぎている気がするし、安く買っても一食朝食に回したらあまり節約になっていない気がする。少し残業して退勤。夕飯は実家から貰った焼き肉にした。たまには自分でも牛肉を買おうと思う。翌朝のおにぎらずの具にするために3切れ残す。


4日火曜日。定時で退勤してFKDZ THEATERに行く。松原さんの負担が大きくて見てて楽しかった。外に出たところで本多劇場帰りのNさんと会い、ご飯の約束をする。楽しみ。B&Bに寄る。東京にまつわる棚と、料理の棚に気が向く。本屋に行くと今自分が何を考えているのか分かる。こんな風にあまりにも個人的なことを書き連ねているのも、今なら東京日記が書けるかもしれないと思っているからだ。知ってる。2冊買う。

帰宅したら京浜東北線が大騒ぎになっていた。夕飯は冷凍パスタで済ます。


5日水曜日。いつもとは違うルートで出勤。電車で昨日買ったお総菜の本を熟読する。1日1品、ごく普通の材料3つ以内、手順も簡単で1ページにまとまっているし、ビニルのカバー掛かってるし、とにかく実際に使うことについてひじょーに考えられた本で唸る。特に巻頭の材料と調理法で表になった目次が素晴らしい。ほんとにこの目次だけでも一見の価値ありだ。材料別インデックスにノンブルしか書いてなくて、そのページまで行かないと何の料理かわからないのだけが惜しい。スペースの都合上仕方ないんだろう。もちろん内容も、「毎日、この本の日付どおりにつくっていっても変化がつくようにしてあります。肉、魚、野菜、その他の主な材料は、なるべく続かないように、しかもほどよい間隔でまんべんなく出てくるように、つとめました。」とのことである。すごい。しかしお料理の本特有の、語りかけるような、美しい日本語、好きだなぁ。本は言ってみれば先生なんだけど、どんなにスキルに差があろうとも同じ台所仕事をするものとしての連帯のようなものを感じる。
21:00開演なら何があろうと大丈夫だろうと思っていたNew York City Copsに残業で遅刻。後ろの方の席から見たニューヨークが、あんまりぴったり二人分の男の子の質量だからなんだか奇妙に感じた。ルミネであの単独をやって、それすら一時のことでこれから先見たことのない世界に行くとわかっているあの人たちが、それでも目で見ればなんであんなに人二人分でしかないんだろう。夕飯はこの日も冷凍パスタで済ます。


6日木曜日。退勤後新宿の無印に行く。19:45頃伊勢丹の地下に行き、餃子が食べたかったので値引きを狙うも、この間は半額になった餃子が待てど暮らせど2割引から下がらない。結局別の店の豚と野菜の煮込みを買って帰る。マスタードソースのハンバーグも買ってしまったので、新宿駅のパン屋で30円引きの食パンを買う。ヨーグルトを買いに近所のスーパーに寄ったら鶏挽肉(むね)が半額になっていたので買う。値引きのものしか買っていない。夕飯を食べて、風呂が沸くまで10分寝ようと思ったら5時半の目覚ましが鳴るまできっちり寝ていた。ベッドにいたし、エアコン点けてたといっても29℃設定だったし、部屋の電気はタイマーで消えてたし、化粧落としていない以外はまぁいいっちゃいいんだけど、一度も寝返りを打っていない気がしてそっちの方が不安だ。


7日金曜日。朝からマスタードソースのハンバーグを丸ごと一個挟んだホットサンドを作成して食べる。やっぱり朝食に充てると節約した気にならない。基本朝食は残り物をパンかご飯に挟んで食べることにしているので食費にカウントしていない。少し前に会社の人が煙草を買ったときについてきたという「セブンで缶コーヒーもらえる券」を5枚もくれたので、出勤途中にうきうきと交換してきた。サラリーマンにとっての缶コーヒーを、学生にとっての何かに例えられない。定時で退勤。乗換駅で本屋が臨時のカウンターを出して『進撃の巨人』の最新刊を売っていた。暑いところで大変そうだった。近所のスーパーで鶏むね肉を買う。やはり食費節約を志すものとしては鶏むね肉をものにしたい。とはいえ私の節約の志は「うまいもん食べたい」という欲望の前には吹けば飛ぶようなものなので、1回やってみてダメだったら鶏もも肉の特売を渡り歩く人生で良いと思っている。下ごしらえをして、この日は使わない。夕飯は鶏挽肉の焼き春巻きょうの料理ビギナーズの「安い肉をおいしく!」というストレートな特集に載っていた。
布団に入って本を読んでいたらベランダの窓を叩く音がして震え上がるが、蝉が暴れているのだとわかった。

仰向けに逝きたる蝉よ仕立てのよい秋のベストをきっちり着けて  杉崎恒夫

私が知っている短歌の中で、いちばん優しいこの歌を思い出した。電気がついているから窓にぶつかるのだろうかと消してみたら静かになった。無事に秋の国に旅立てていたら良い。この日はこの1週間で初めてクーラーをつけなくても眠れるくらい涼しかった。

パン屋のパンセ (かばんBOOKS)

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