画伯と文豪

ちょうど水戸芸術館に行った日にNHK日曜美術館の撮影が来ていて、それが来週放送でもう楽しみで楽しみで。朝見た予告を夜録画するくらい楽しみで。


画伯!あなたの正体は? ドキュメント・山口晃


ついにNHKにまで画伯と言われている。や、前から言われてたのかとかは知らないのだけど、広く美術を扱う――他にも「画伯」にあたる人を扱う番組で、タイトルで名前もなしに「画伯」って呼びかけられるってすごいなぁと。
でも画伯は画伯って呼びたくなっちゃうのよね。それはつまり、画伯は美術の国の王子さまなんだと思う。余所のジャンルから客を引っ張ってくる人。でも王子さまと言うにはロマンスグレーすぎるから、画伯。画伯の伯は伯爵の伯。
画伯は文章も能くするから、あっちが本業だったら「文豪」と言われてただろう……と思って気がついた。ピースの又吉氏は、あれは、純文学の国の王子さまなのか。
火花』が35万部も刷ったと聞いて、でもピースが単独ライブやっても35万人は動員しないよナァ……どう言う層が買ってるんだろうナァ……とずっと不思議だったのだけど、王子さまならわかる。

「王子」が出るためには、そのジャンルが「存在」しないか、それまで思い切り「沈滞」していることが条件。

荒川洋治「王子」より 幻戯書房読むので思う』所収