ROM専の身でガルマンカフェに行ってきた

ガルマンカフェ
10/6 cafe LAX


歌人の堂園昌彦氏がカフェをやる、なんでもそこではご本人作のカレーが食べられるらしいと言うことを金曜日くらいに知りました。どうも普段やってる歌会の特別編らしい、だれが行ってもいいらしいということはわかったのですが、まぁしかし、そこにいるのは皆さん歌人だろうと言うことは想像に難くありません。誰が行っても良いと言っても、ど素人がそこに踏み込むなんて心臓に毛が生えてなきゃ無理じゃないかと。
私もこれまで数々身の程知らずのところにいっちゃあ、ああお呼びでなかったととぼとぼ帰ることを繰り返してきたのでそれくらいはわかる。だからライブだって、自分が主たる客層からずれたと思ったらもう行かない。それくらい、あの帰り道のむなしさったらないですよ。
でも「カレー食べたい」の一点で行ったんだからげに恐ろしきは食い意地ですな。いやこれはカウンタートーク風藤松原トークライブで学んだことなんだけど、好きな表現をする人が作るご飯が食べられる機会はのがしちゃいけない。これもう絶対。
そんでノコノコ行ってきまして、カレーを食べて、ケーキを食べて、歌会まで参加して思わぬ楽しい時間を過ごしてきました。いやー恐らく会場中に錚々たる方がいたんだと思うんですが、なにしろお名前=背表紙しか知らないから。お顔がわかったらとても平静ではいられなかったろうから逆によかったのだと思う。まさか自分の人生で田中槐氏と同じ(正確に言えば隣の)テーブルを囲むことがあろうとは。
ずっと途切れずおしゃべりもさせていただいて、どの方も所属とお名前を教えてくださったので「すいませんただの読者です」と言うのが申し訳なかったのですがとても楽しい時間を過ごしました。
歌会も、せっかくだからとまったく未知のことだったんですが参加させていただいたらこーれが楽しくて! 私は意味からしか好きも嫌いも決められないですが、皆さんの評を聞くと、そういう風に読むのか!と思うことばかりでした。
もちろん私のは短歌と呼べるようなものではなく、書いたことがたまたま31文字になってるといういわば事故ですが、それでも参加してほんとによかった。1票入ってめちゃめちゃ嬉しかったし、ダメ出し怖いなあと思ってたんだけど、「ここが違う」と言われるのもすっごい楽しいのね! にこにこ聞いてしまいました。
普段は板の上に立つ人をどきどきしながら見るだけなので、たまには自分のことでどきどき緊張するのも良いものでした。ほんとに楽しかった。


お話させていただいた方の中には詠まないで読むだけと言う方はいなかったのですが、いたのならぜひお話ししてみたかったなぁ。私が詩集歌集句集を買って読むようになったのが高校生の時なので、かれこれ17、8年たちますが、その間自分以外に詩歌、特に短歌と俳句のROM専と言う人に会ったことがないのです。社会に出てからは詩集を買ってる人自体に会ったことがありませんが。
短歌に限って言っても、歌集の感想を検索したら歌人の方の評が圧倒的多数で出てくる。私みたいに「結社に入っていないけどサラダ記念日みたいなモンスタータイトル以外も日常的に歌集の新刊は調べて買う読者」と言うのは日本に何人くらいいるんでしょう。もちろんたまに短歌研究とか角川短歌は買いますけど、基本的に歌集単位までまとまらないとリーチしない、できない人。
歌集を出すなんてのは、芸人さんでいえば単独ライブができると言うくらいのすごいことで、単独ライブができなくてもおもしろい人をたくさん見ている身としては雑誌とか同人誌とかにもたくさん良い歌があるんだろうなと言うことは考えるまでもないことなのですが、いかんせん作る輪の中にいないとそこの中を知るのがすごくむつかしい。あとそこまで時間を割けない。見つけて磨いて届けるのは結社と、編集者と、紀伊国屋書店本店の詩歌の棚の担当者の方にお任せして、そこまできてやっと買うだけの人の人口が昔からすごく気になっています。でも成立しているジャンルにはそういう人がたくさんいるはずだと思うからなおのこと。外にいるとそういうのも感覚としてわからない。
そういえば、そんな私にぴったりではないかと思われるイベントが今度ほかならぬ紀伊国屋書店本店であるので行ってきます。「本屋で歌集を買いたい」。素晴らしい。献本がうらやましいと思うのは、もらえるからじゃなくて探し回らなくて良いからだもの。お金は払いたいんだもの。前に望月裕二郎氏の「ひらく」がまるっとネット上にあったときはおののいたよね。


帰りの電車の中で「未来」の機関誌を見せていただいて、そのときちらっと見えた名前が気になったので調べてみたら、やはり大学の文藝部の先輩でした。今も書いてらっしゃるんだなぁと嬉しくなりました。


書き忘れていましたがカレーはこの先夢に出てきそうなほどおいしかったです。ケーキも。署名もいただいて、これと決めていた歌を書いてもらいました。あの美しい本に触れて、堀江敏幸著作を連想したのは間違いでなかったとわかったのも嬉しかったです。


やがて秋茄子へと到る

やがて秋茄子へと到る