国語の便覧にもかかっていた

爪を立てたらガリガリ言う、あの横線の入ったビニルはなんという名前なんだろう。本屋であれが巻かれた本を見るとつい手に取ってしまう。最近だと『近代日本の文学史』。そしてこの本を手に取ったら又吉氏の新刊だった。



ふふー、にくい装丁ですねー。中もほんとのクロス装にしたかったんじゃなかろうか。いつか夏葉社から出た又吉氏の瀟洒な本を読んでみたいものです。


あとうちにあるこのビニルのかかった本と言えば


まぼろしの大阪

まぼろしの大阪

大阪おもい

大阪おもい


東京の人である著者が大阪のことを書いたこの二冊。東京出身ではない又吉氏が、東京のことを書いた『東京百景』。どちらも対象の土地への距離感が、大阪好きで東京に勤める千葉県民である私に心地よい。


芸人さんの本は聞書きが多いのか、言葉が垂直に立っている気がして読んでいて疲れてしまうことが多いのだけど、『東京百景』はちゃんと地べたと平行に書かれた感じがしてずんずん読めた。通勤の間に通して二度読んだ。エッセイであり、たまに私小説であり、それよりも頻繁に幻想小説になり、詩のようなものもあらわれる。読書への信頼に溢れた一冊。