THE MANZAI本戦サーキット 第3戦

日清食品THE MANZAI 2012 本戦サーキット 第3戦
11/3 ルミネtheよしもと 20:00


10月の月笑の感想上げるまではといろいろ保留にしていたら、すっかり書く機を逸してしまった。ヨージさん単独、うしろシティの新人演芸大賞、Hi-Hiのトークライブ……。
しかし今無理に書いても仕方ないので、リハビリがてらTHE MANZAI本戦サーキットのことを(と書いたのがすでに先週のことなのだがあげる機会を逸していたのでいまさらこっそり上げる)。
今年のサーキットは祇園以外は行くことにしていて、土曜日の第三戦も見てきました。印象に残った組をツイートしたのを改めて。


この日は去年の決勝組の出順がえらいはやくて、反対に第一戦が第一グループだった風松は大分後の方だったので2回出る間にバランスをとっているのかなと。
開始早々、天竺鼠の不穏な漫才に持って行かれた。すごいなあの漫才。こないだ深夜でやってた1分のネタはここまでふざけるのかーと思ったけど、本ネタはどこまでふざけてるのか本気なのかわからなくて不気味でかつおかしくて仕方ない! 4分と思えないくらい長く感じて、時間までゆがめているのかと思った。
磁石がその直後の出番だったので、ちょっと弱く見えてしまった。この間トッパレでこれぞ絶品と思ったネタとまったく同じだったのに、不思議なものだなぁ。
第一戦は大幅なタイムオーバーはマヂカルラブリーくらいだったんだけど、この日は続出で、中川家は初めから時間内に収めようとしていないようだった。ひょっとしたら決勝に上がるつもりはないのかもしれない。でもきっちりやったら審査員も評価しないはずないし。順位をつけるのが無粋に思えるような円熟の漫才を見せてくれた。
いちばんすごかったのがスリムクラブで、4分の警告灯が明滅した時点で「真栄田:内間さん、あと2分あります」「内間:巻きましょう」ってええええどこまでほんとなのー!?
天竺鼠とアルピ、ウエストランドとボーイフレンドもちょっとオーバーしてたかな。メモとってないんで間違ってるかもしれませんが。


結果から言うと1位のオジンオズボーンは、客席が完全に篠宮さんを待ってる状態で、なんか言うたびに待ってましたとばかりに受ける。滑 林蔵に至っては「やっと会えたー!」くらいの勢いですよ。もうすごいとしか。全部知ってるのに一番大声出して笑った。また高松さんの受け身といなしが長足の進歩を遂げていて、邪魔を邪魔しないというむつかしい役割をきれいに果たしているから、見ているこちらも気持ち良く篠宮さんの一言一言を堪能できる……というだけでは不足で、高松さんでも笑うんだよなぁ。もう最強じゃないか。
篠宮さんから青白い炎が、細く長く蜘蛛の巣のように広がっているのが見えるようだった。何かを張り巡らしている篠宮さんは一度も表情を崩さず、ヒットマンみたいに笑いをとり続けて最後までまなじりをきりりとさせたまま悠々と捌けていく。かっこいいなんてもんじゃなかった。篠宮さんアイドル的人気がほとほと嫌になったって仰ってたのに、これからモテるぞ。尋常じゃなくモテるぞ。


普段あまり見ない人では、NON STYLEがおもしろかったなー。前半知ってる感じかと思いきや、私のように浅薄な知識で「ノンスタはこういう漫才師」と思っているイメージを逆手にとる構成で、後半すごく笑った。
ボーイフレンドは若々しさがあふれているというか、見てて気持ちいい。そういえばこの間見たのも歌ネタだったなぁ。


3位だったアルコ&ピース。「忍者」で来たかー! これがもう恐ろしいほどの受け方。フレーズを繰り返すたびに大きくなる笑いに、一度平子さんが客席に両手のひらを向けて「おさえておさえて」というジェスチュアをしたんだけどそのしぐさも含めての完全なる茶番っぷりよ! やっぱりアルピは大舞台が映えるわー!
2位だったハマカーン、最近ケイダッシュライブに行けてないので初めて見たネタだったんだけど、神ちゃんの女子と言うか脳内少女漫画っぷりに磨きがかかりすぎてすごいな……。漫才の間中神ちゃんのうしろに丸ゴシックで「きゃるーん」って擬音が見えていたよ……。


風松は「ことわざ」。ことわざをやるとわかったときはちょっと不安だったんだけど、ネタの内容以前に漫才そのものが、ここ最近見た中で一番楽しかったんでもう終わった時には満足感だけだった。良い漫才だった。
10月の月笑の漫才をどんだけ気にしてるんだって感じですが、ほんとに……まぁ言ってしまえばつまらなそうにやってるように見えたのでね。そのあとに見たトッパレはコント形式でことわざをやってて、松原さんがずっと下を向いているから全然表情が見えなくて、内容は面白かったんだけどやっぱりもやもやが残ったのですよ。とはいえ客の権利は「つまらないと思ったらもうその漫才師を見ない」にあって「漫才師にああせいこうせいと注文をつける」では絶対ないのでどうしてくれとは言わないんですが。
この日の松原さんは食いぎみのように早口で(最近わかったんだけど松原さんて調子いい時は早口なんだわ)、ネタの中に天丼が3回もあった。フレーズは全て鉄板のものばかりだったんだけど、あんなに重ねるのは初めて見た。そこ以外も松原さんが自由にやってるように見えるところがことごとく面白くて、終盤は風藤さんが短いフレーズをどんどん繰り出して、最後にはあああのネタからこれをもってきたのか!と唸るような豪華版。
私は漫才の技巧とかネタの妙とか、そんなにわからんくせに、それをすっとばしてとにかく楽しそうにやってるのが好きだと言う。嘘でもいいから楽しそうにやってほしいし、それが嘘かはたぶんわかる。
なのに一番好きな風松の漫才は、たまに、「漫才をやってて楽しいのかな?」と思ってしまうことがある。いや楽しくないとあんなしんどそうなことできるわけないとは思うんだけど。
おもしろいと思う漫才師が近く大きく見えることはよくあるんだけど、この日の風松はむしろ普段より遠く見えた。でも悪い印象じゃなく、ここ最近の風松の漫才見てる中で一番楽しかった。なんだろなあの感覚。少し離れたところに「ふたり」がいる感覚。


結果発表の前に出演者が(帰った組以外)全員出てきて、あべちゃんがひとりひとりに話を振るんだけどさすがウエストランドとS×Lはいじられるいじられる(笑)。
スリムクラブが振られた時に真栄田さんが「バイトリーダーやればよかった」っておい(笑)! 「今日は他事務所のお客さんが多いと思ったので……」(だからバイトリーダーは伝わらないと思ったと言いたかったのかなと感じた)と言うのがひとくだりあって、そのあと平子さんが出てきて「平子っちだよー」→客席沸く→スリムクラブ→そうでもないという流れがあったんだけどあれは非吉本の方がホームとかでなく平子さんが特殊かつ客席が空気を読んだだけだと思うぞ(笑)。
THE MANZAIの予選にアンチ吉本が多いという主張は去年トータルテンボスも言ってい(たという話をラジオでダイノジが話していたのを聞い)たけど、この日の出演者は吉本と非吉本がきっちり半々なので、ふつーに考えたら客席も半々じゃないかなー。
あ、アンチ吉本とまで言うのではなく、「普段の劇場と同じ反応が返ってこない」ってことだった可能性もあるか。それなら単純に半分がなじみのない人なのだから、受け方は違って当たり前だろうなあ。初見の方が笑いやすいこともあるので、一足飛びにそれが不利だとはならないとは思うけど。
真栄田さんは客電ついた後にわざわざ出てきて冗談ですからって言ってたんだけど(笑)、まぁ冗談にしてもそう言う話を出すくらいには意識してるのかなーと。意識というか、「かつて賞レースが吉本のホームだったときがあってそのときはもっとやりやすかった」と言う体感があるのか。
いろいろ書いたけど、本戦サーキット2回見て、会場受けと順位は完全には一致してないということの方が、会場が吉本と非吉本どっち贔屓かということよりはるかにはっきりと感じたので、会場のファン層は結局あんまり関係ないんじゃないかなーと思う。


EDで一位発表の前にあべちゃんが上手にいた風藤さんに「風藤松原はどうだった?」とふってくれて、風藤さんが「江上と相方が気まずい」って言って、下手の衝立の後ろに隠れてた松原さんを近くにいた人が2人がかりくらいで引きずり出してきた(笑)。江上さんはもとから舞台の真ん中あたりにいたのでその近くまで寄ってきて、だらだらっと喋っていたら突如磁石が「はやくしろよ! 手ごたえあったから緊張してるんだよー!」と吠える(笑)。
他にもちゅうえいのスフィンクスがすべったり、中川家の礼二さんがEDでしろうさんにジャンピングツッコミをしたあと巻きの指示を出し、さらにしろうさんが喜んでいたら後ろから片手で拝むようにして謝ってたりといろいろあったんだけど、まーとにかく楽しかった。
1位で呼ばれた後マイクを向けられた篠宮さんは開口一番「どうも、一位さやかです」と言い放ち、高松さんはその篠宮さんに向かって「なんでそんな平常心でいられるんだよー!」と狼狽しまくりながら叫んでいた。同じ一つの漫才をしたふたりでこんなに結果への反応が違うというのがまた、コンビのおもしろさだなぁ。なんかこの場面を見て、オジオズトークライブあったら行きたいなと思った(そしてこないだANNGがあったから大分その欲求は満たされた)。


終わって思わず、漫才楽しい!と上田さんの名言を口走っていた。漫才は楽しいです。見るのも。


しかしあまりに楽しかったためか、この日以来若干燃え尽き症候群気味だったりもします。FKD行ったら再燃するかしら。