横山裕に間違いなし

横山YOUがヤっちゃいます3 2010春
24日14:30 東京国際フォーラム Aホール


去年の6月?以来のジャニコン。すでにエイトでも知らない曲がかなりあるのでその点のみ不安でしたが、内容についてはもー全然、どう考えても楽しいだろうと気楽に行ってきました。以下ネタバレ。むやみやたらと長いです。削りたいけどもう寝ないと。


いやーーーー楽しかった。まぁ当たり前だけど楽しかった! 裕さんのソロコンで楽しくないわけがないけど楽しかった。
「WONDER BOY」で始まってレンジャーがあって〆が「オニギシ」ってことはこないだと一緒と言えば言える。
でもマンネリとかワンパターンとか一切思わない。イチから考えてこの形になったと言われても納得できる、観客の見たいものを見せようとしたら必然的にこうなったとしか思えないくらいの完成度だった。
そしてなにより、最初のソロコンと比べて横山裕自身があまりにも成長しているから、マンネリなんてみじんも思わない。偉そうになるけど、男ってのはここまで成長するのか、ここまで変わるのかと何度も何度も何度も思った。


OPの映像がまず格好良かった。虎の着ぐるみを着たりもしつつ、格好いい衣装を着て格好いい表情をした裕さんがかっこつけて立っているショット目白押し。まずこの時点で結構びっくりした。きれいすぎる顔に照れ、かっこつけることに照れ、さかのぼれば少クラで喜怒哀楽すら真面目にやらなかった男が自分の美貌もかっこよさも全部引き受けてかっこつけている。これが格好良くないわけがない。


開始早々いかにも横山裕らしい膝下ズボンのチェック衣装で、これぞ横山裕と言うWONDER BOY・あめちゃん・プリンのメドレー。ここはひたすら楽しかった。
その後「1秒KISS」を持ってきた呼吸にはさすが! しかもがっつり踊ってる。「HOPE」は相変わらず甘い声だなーと思った。この辺までは、ほんとに楽しいばっかりだった。次あたりから、感心とか感嘆とか、うまくいえないけどとにかく圧倒されることがしばしばあった。


「チョコレート」の前に、ヤス君に新曲を発注したんですよーと言うと、観客が沸いた。その歓声を受けて、「名前だけできゃーっていうのやめてくださいー」「横山裕がヤっちゃいますコンサートですー」「俺ここにいますー」「そういうとこ気を遣ってください、拗ねそうですー」とふてるふてる(笑)。でもこれが、ちゃんとわかっててやってる感じだった。昔だったら「わあああ機嫌悪くなるー!」と焦る所だったんだけど、そんな気配はみじんも感じず。お山の大将横山裕というキャラクターをしっかりわかってのリップサービスだった。
この新曲「チョコレート」、これはすごい。ジャニーズ曲にたまにある、誰がやっても可愛い大当たり曲の匂いがぷんぷんする!「秘密」みたいなものと言ったらいい過ぎか。いやあのダンスはすごいわ! こう言うのが必要なんだよアイドルには!
後のMCで言っていたんだけど間の「チョッコレイト♪」とぶりっこのように言う所はやっさんたってのご希望らしい。作曲者曰く「横山裕のかわいさを前面に出す所」らしい。この回はメンバーが見に来てた事もあってさすがにちょっと照れていたけど、それ以外のところはもう完璧。かわいさを出すためのかわいいフリを踊りきり、最後の「泣いてた」のとこの小首かしげる狙いすぎのポーズも完璧。
やったらかわいいとわかっているものを、かわいく演じきる横山裕
驚愕だった。人ってこんなに変わるのか。シャレにも冗談にも逃げず、真っ正面からかわいいものをかわいくすることができるまでに。


ここでステージに正方形の窓が3つ切ってある背丈より高いくらいのスクリーン?のようなものが降りてきて、「鏡を使って遊びたいと思います」。
裕さんがスクリーンの前に立つと正方形の窓の中に映る。もちろん鏡ではなく、事前に撮った映像に合わせて動いているんだけど、もうこの演出に感動! 裕さんがこんなテクニカルなことを! カミコンみたい!
だって映像に合わせるって事はアドリブできないんだよ? ライブと書いてハプニング、自由と書いて横山裕が、こんなに自由度の低いしかも練習しなきゃいけない演出を取り入れるなんてー!
そのまま名曲「Kicyu」。3つの窓フル活用。等身大のやっさんといっしょに踊るだけじゃない、やっさんと裕さんのアップが真ん中に正面顔、左右に横顔と映ってみたり、めまぐるしく移り変わる。まぁこのアップの顔がまたきれいでね! このきれいな顔を照れもせずこんな大写しにするなんて……とまた感動。
さっきからこいつはアイドルに何いってんだと思われるかも知れないが、あの人の自分の美貌を自覚してるくせにそれを同時にコンプレックスに思ってるようなところをよく見聞きしていたもんで、ここまで真正面から武器にされるとびっくりするやら頼もしいやらで。そういやコンサート中どっかで「かわいいだけでここまできました」って言ってたなぁ。
曲の最後の方は何度か自由に動きたそうな素振りもあったけど、映像の中のやっさんを見てちゃんと忠実にフリを守っている姿にまた(以下略)。
やりたいこと、その場のノリより、演出によって観客を楽しませることを優先することができる横山裕は、確実にエンターティナーとして一皮剥けた。


レンジャーは割愛(笑)。ベテランと新喜劇がやりたいんだね! と言うことは伝わったよ。


で、この回はメンバーが来ていたのでMCはエイトコン状態だった。村上さんを先頭に電車ごっこのように前の人の肩を持って一列になって下手から出てくるメンバー。村上さんが裕さんの後ろについてちょっと歩いて、いつもの立ち位置に。
色々話してたけどメモ取ってないからなー。裕さんがMCやるのいつ以来?と言って、村上さんが東京では去年の6月以来、と。裕さんが東京ドームそんな前か!と驚いてた。
MCしてるうちに楽しくなって来ちゃった裕さん。やっさんかだれかに、裕さんが楽しくてべらべら喋りすぎと指摘される。マルさんは緊張してマイクがびちょびちょらしい(笑)。
この後メンバーのソロやるんですよ、メンバーの前でメンバーのソロやるって恥ずかしい!と。大倉さんが「こないだの扱いがひどすぎたのでやるならちゃんとやってくれ」と訴えてた。


その後メンバーのコメントVTR挟みつつメンバーソロ。相変わらず、あの人の中ではすばるさんと若大将(錦戸さん)はかっこいい要員でアンタッチャブルらしい(笑)。
で、村上さんのBabunね。私はパズルコンのどっきりもこないだのカウコンも(そのDVDも)見てないんでよくわからなかったんだけど、なんか、村上さんがえらいことやったらしいと言う噂は聞いていたのでああこれかあと。これと、ワンシャンロンピンでの景気の良い脱ぎっぷりと白さには驚いた。腹肉全然無い……!


終盤戦の最初は「Fantastic Music」。これ見るために予定になかった遠征をして、「ソロやってくれた」と言うだけで号泣していたのが嘘みたいだ。今となっては、「ひとりじゃなんにもできない」という歌詞と本人にものすごい乖離を感じる。あのときは、まさに横山裕のための曲だと思ったのだけど。でもご本人は、ひとりでやってるとは思ってないんだろうけど。


この次が今回のハイライトだと思っている。「Kicyu フラメンコバージョン」。
黒で統一されたスパンコールギラギラの、長い丈の燕尾服みたいなジャケットとベストとハット。裕さんのハットやらキャップやらにはさんざん煮え湯を飲まされてきたけど、今回初めて息を呑むほど似合っていると思った。ご本人にではなく、演出に。
おふざけ要素一切無し、あの楽しい曲をひたすらストイックにフラメンコ風に踊りまくる。
Kicyuは曲もさることながら元のあのフリがほんとーに可愛くて楽しくてアイドルらしくて素晴らしい完成度で、パズルコンのチケ代の4分の3はあそこに出したと思ってるくらいなんだけど、それをこんな風に変えてくるなんて。
双眼鏡握って微動だにしなかった。ちょっとも見逃したくなかった。
既存曲をアレンジ、格好良く、踊りまくる、と言うのは、ジャニーズではひとつの常套手段で、とっても「らしい」演出だ。でもそれを裕さんがやるとは思わなかった。
フラメンコと言えば翼さんだけど、例えば翼さんには「フラメンコをマスターする」というものすごく強固な意志があった。じゃないとできない。
それ以外にも歌舞伎でも、ヒップホップのアレンジでも何でも良い。とにかくなにか既存のジャンルをジャニーズに持ってくる場合、ご本人の強い希望と信念がないとやり遂げられるものではない。下手なことをすれば、どっちにも劣る。元のジャンルにも、キラキラのジャニーズワールドにも。
裕さんがフラメンコやりたいだなんて聞いたこともない。まぁここ1年はラジオも聴いてないんでアテにならないけど。
最初のソロコンで「confUsion」をやったのとは、おなじ「踊りまくる」でも意味が違う。あれは、ごめん、体をふたつに折って大爆笑してしまった。あの横山裕が前はだけてバラ背負って踊ってるー! じゃにーずみたいー!って笑った。
今回は笑わなかった。ジャニーズ的演出の中でもっとも高度なこと、を、横山裕がやっている。ジャニーズらしらかぬジャニーズと言われつつけた関ジャニ∞の中にあって、エイトを体現する男が、パロディとしてではなく、己をきちんとジャニーズの表現者として、演出をなぞるのではなく消化して、真正面から。
ジャニーズが大好きで、なんの衒いもなくジャニーズワールドに目を輝かせて、そのくせ邪道と言われながら、それでも誰よりジャニーズを表現できる人だと思ってはいた。技術ではない点で社長のエンタテイメント精神をいちばん色濃く受け継いでいるのは裕さんだと思っていたから。でもそれを目の当たりにしたら、衝撃が強すぎた。
人ってこんなに変わるのか。なにもかも引き受けて、逃げない横山裕って、こんなにも素晴らしい一点のにごりもない、ジャニーズアイドルに成長するのか。


それでも裕さんの希有な所は、「フラメンコがやりたい」わけでは決してなかったんだろうなと思わせる所だったりする。おそらくは演目自体は他でも良かった。観客が最も見たいもの、もっとも沸かせられるものを考えた末のチョイスだったんではないかと思っている。まぁすべては想像だけど。
この曲の途中で、演者の動きが止まり、無音になる数秒がある。その緊迫感を、演者も、観客も、楽しんでいるように感じた。あの無音の演出を、皆で作り上げているように感じた。長らくコンサートで忘れていた一体感って、あれだったかもしれない。


「confUsion」から盛り上がり曲を経て最後はやっぱりオニギシ。嘘泣きだと思ってる(笑)。
アンコールはエイトが出てきて「ひとつの歌」。その後手をつないで「俺たちが関ジャニーエイトー」があったもんだからソロコンぽくなかったけど(笑)、マイクを持つ裕さんの左手を、むりくり掴む村上さんが見られたのでよしとする。ちなみに右手側はすばるさんだった。
ダブルアンコールは「ギガマジメ我ファイト」。色紙投げてないのでーとか良いながら出てきた気が。1枚だけエイトみんなのサインが書いてあった。



正直な所、もうYJを更新するつもりが無かったのでこれが最後のジャニコンかなーと思いながら行った。でも、30歳の横山裕が見たいから次のエイトコンは(関東で)見に行こうかな。
私が最近エイトから離れていたから、こんなふうに裕さんに感心するばっかりでいられたのかもしれない。ライブやってないこととか、私は全然気にしてなかったんだけど、裕さんが「いつすんねんと思ってるだろうけどもうちょっと待ってください」と言っていた所をみると、そう言うことを過剰に心配する層もいるんだろう。そう言う人には楽しいばっかりのコンサートではないのかも知れないけど、まぁ、人のことはおいといて。
横山裕は信じられないくらい素晴らしいジャニーズアイドルに成長していた。松竹座で座り込んで村上さんに迎えに行かれていた人はもういない。
私はもう担当じゃない。心配したり心情を妄想したりステージに何かを仮託したり他人の人生に夢を見たりすることはない。
ただファンとして、楽しいことだけ受け取りに、誰より信頼するエンターティナーとしての横山裕のコンサートに足を運べる。
それはきっと楽しくて嬉しくて幸せなことだ。